四天(読み)シテン

デジタル大辞泉の解説

し‐てん【四天】

四時の天。春の蒼天(そうてん)、夏の昊天(こうてん)、秋の旻天(びんてん)、冬の上天のこと。
四天王(してんのう)」の略。

よ‐てん【四天】

歌舞伎の衣装で、広袖で裾の左右が切れ込んでいる着付け。動きの激しい、武勇を表す役などに用いる。また、それを着ている役。
荷物や荷車を四人で担いだり動かしたりすること。
「三河酒―でかつぎ山へゆき」〈柳多留・九七〉

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世界大百科事典 第2版の解説

よてん【四天】

歌舞伎の衣装。衽(おくみ)がなく,裾の両脇に切れ目(スリット)が入っているのが特徴。〈してん〉と読むことは忌まれてきた。仏像の四天王の衣装からとった説,黄檗(おうばく)宗の僧衣が裾のあたりで四つに裂けていて,四天と呼ぶのを移したとする説がある。また,舞台で鎧(よろい)の着用が禁じられていた時代に,鎧がわりに利用したともいわれる。用途は意外なほど幅ひろい。主役級が着るものと捕手軍兵が着るものと2系統あるが,転じて〈四天〉は,捕手や軍兵の役柄を示す語ともなっている。

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大辞林 第三版の解説

してん【四天】

四時の天。春の蒼天そうてん、夏の昊天こうてん、秋の旻天びんてん、冬の上天をいう。
「四天王」の略。 「甲かぶとには-をかいて、押したりける/平家 8

よてん【四天】

黄檗おうばく宗の僧が用いる衣服で、袖が広く腰のあたりで四つに裂けたように仕立てたもの。
歌舞伎で、 に似た衣装。捕り手・御注進など、動きの激しい役や盗賊などが着る。また、それを着ている役。

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精選版 日本国語大辞典の解説

し‐てん【四天】

[1] 〘名〙
四時の天。春を蒼天(そうてん)、夏を昊天(こうてん)、秋を旻天(びんてん)、冬を上天(じょうてん)といい、これを総称していう語。四季。〔書言字考節用集(1717)〕
② 東西南北。四方。
※雑俳・柳多留‐四六(1808)「土蜘は化て四天へ巣をかける」
※三教指帰(797頃)下「夫生死之為海也、纒三有際、彌望罔極。帯四天表、渺瀰無測」
④ 蚊屋の上部の四方のへり。
※評判記・色道大鏡(1678)三「蚊帳は、たうか、ろりん、ろけん、ほら、四天(シテン)ちへりは錦織或は金入織物のしつ」
[2] 「してんのう(四天王)(一)」の略。
※九冊本宝物集(1179頃)九「多宝の証明、普賢の擁護、四天の守護、十羅刹の囲遶のみにもあらず、しばらくもたもてば」

よ‐てん【四天】

〘名〙
① 歌舞伎で、勇士・山賊・海賊・捕手などの激しく体を動かす役の着る、広袖で左右の裾が割れている衣装。きらびやかな織物に馬簾(ばれん)という飾りふさのついたものと、木綿地で馬簾のつかないものとがある。また、黒一色の黒四天、赤系統の染模様で役者が手に花枝や花槍を持って出る花四天などの種類がある。〔随筆・一話一言(1779‐1820頃)〕
② 荷物や荷車などを、四人でかついだり動かしたりすること。
※劇場新話(1804‐09頃)上「せり出し四てんぶん廻し〈略〉四人にて担ぎ上る是は一人せり出の時也」
[補注]四天の名は半纏(はんてん)の名をもじり仏教の四天王になぞらえ、「してん」の「し」を忌んで「よてん」と称したものかと思われる。

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