四衆
ししゅ
仏教の術語で、仏教教団のメンバーの総称。すなわち、(1)比丘(びく)(ビクシュbhik
u)と(2)比丘尼(びくに)(ビクシュニーbhik
unī)とは出家者の男女をいい、(3)優婆塞(うばそく)(ウパーサカupāsaka)と(4)優婆夷(うばい)(ウパーシカーupāsikā)とは在家信者の男女をいう。比丘・比丘尼とは具足(ぐそく)戒を受けて教団内で修行に専念する者で、彼らに衣食住などを布施し五戒を受けた在家信者の優婆夷・優婆塞が帰依(きえ)して、教団は構成され維持される。のちに比丘・比丘尼の未成年者(沙弥(しゃみ)と沙弥尼)および比丘尼として出家する前の2年間を過ごす学真女(がくしんにょ)を加えて、七衆(しちしゅ)に発展する。
[三枝充悳]
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四衆
ししゅ
(1) 仏教教団を構成する人々を4種類に分類したもの。 (a) 比丘 (びく。男の出家者) ,(b) 比丘尼 (びくに。女の出家者) ,(c) 優婆塞 (うばそく。男の在家信者) ,(d) 優婆夷 (うばい。女の在家信者) 。四輩,四部衆,四部の弟子ともいう (→七衆 ) 。 (2) 仏の説法の席に列席する人々を4種類に分類したもの。 (a) 発起衆 (ほっきしゅ。仏の説法のために時機を考えて質問を発する者) ,(b) 当機衆 (教説を聞いて悟りを得る者) ,(c) 影響衆 (ようごうしゅ。他所から来て仏の説法教化を助ける者) ,(d) 結縁衆 (けちえんしゅ。仏の説法会に列席する因縁のある者) 。
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し‐しゅ【四衆】
〘名〙 (「しゅ」は「衆」の
呉音) 仏語。仏教に帰依した弟子、すなわち比丘
(びく)・比丘尼
(びくに)・優婆塞
(うばそく)・優婆夷
(うばい)の四種の称。四部の弟子。ししゅう。
※読本・椿説弓張月(1807‐11)拾遺「尒時(そのとき)世尊〈略〉四衆(シシュ)に囲繞(いにょう)せられて」 〔梵網経‐下〕
し‐しゅう【四衆】
※妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)一「世尊、四衆(シシウ)(〈注〉ホウシアマヲトコヲンナ)に、囲遶(ゐねう)せられたまへり」
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デジタル大辞泉
「四衆」の意味・読み・例文・類語
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世界大百科事典内の四衆の言及
【僧】より
…サンガは元来,集団,共同体の意味で,修行者の集り,教団を指すが,中国では転じて個々の修行者を僧とよぶにいたった(その複数形をあらわす僧侶もまた,日本では個人を指す語に転化した)。
[インド]
教団の構成員は出家修行者たる比丘(びく),比丘尼(びくに)と在家信者たる優婆塞(うばそく),優婆夷(うばい)の4種で,合わせて四衆とよぶ。また,修行者のうち未成年者を沙弥(しやみ),沙弥尼といい,女性で入団1年未満のものを式叉摩那(しきしやまな)とよび,これらを別出して七衆ともいう。…
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