固める（読み）カタメル

デジタル大辞泉

かた・める【固める】

［動マ下一］［文］かた・む［マ下二］
１ やわらかい物や液状の物を、かたい状態にする。また、物をかたくする。「ゼリーを冷やして―・める」「こぶしを―・める」
２ 物事を集中させる。一つにまとめる。「安打を―・めて打つ」「荷物を片隅に―・めておく」
３ 状態を安定させる。しっかりしたものにする。強固にする。「身を―・める」「決意を―・める」「選挙の地盤を―・める」
４ 外部から影響されないようにかたく守る。「国境を―・める」「陣営を―・める」「うそで―・めた供述」
５ （「…に身をかためる」の形で）ある行動に備えて、装束などを身につける。「防寒具に身を―・める」
６ かたく誓う。しっかりと約束する。「契りを―・める」
７ しっかり結ぶ。固定する。
「烏帽子えぼしの緒、元結、―・めずともありなむ」〈枕・六三〉
８ 矢を引き絞ってそのままの状態を保つ。
「しばし―・めてひゃうど射る」〈古活字本保元・中〉
[類語]地形・地ならし・整地・固まる・凝固する・凝結する・固結する・固化する・膠化こうかする・こごる・凝こる・強張る・踏み固める・地固めする・凝り固まる・根締め

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

かた・める【固】

1. 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
   [ 文語形 ]かた・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
2. ① 柔らかいものや液状のものに手を加えてかたくする。
   1. [初出の実例]「いざ子どもたはわざなせそ天地の加多米(カタメ)し国そやまと島根は」(出典：万葉集（８Ｃ後）二〇・四四八七)
   2. 「門もしどけなく、ついぢのくづれもかためず」(出典：あさぢが露（１３Ｃ後）)
3. ② ゆるんでいるものに力を加えてかたくしめる。また、しっかり縛る。堅固にする。座がだれないようにひきしめることにもいう。
   1. [初出の実例]「大船を舳(へ)ゆも艫(とも)ゆも可多米(カタメ)てし許曾(こそ)の里人あらはさめかも」(出典：万葉集（８Ｃ後）一四・三五五九)
   2. 「その人にあふまではいかなるうきめにかと心をなやまし、長座敷をかためけるに」(出典：浮世草子・椀久二世（1691）下)
4. ③ 鎧、兜などの武具や装束を身につける。
   1. [初出の実例]「一族若党二十余人、物具ひしひしと堅(カタ)め」(出典：太平記（１４Ｃ後）一)
5. ④ かたく約束する。強く禁じる。
   1. [初出の実例]「この篋(くしげ) 開くなゆめと そこらくに 堅目(かため)しことを」(出典：万葉集（８Ｃ後）九・一七四〇)
6. ⑤ かたく守る。警備する。
   1. [初出の実例]「ものかしこげに、なだらかに修理して、門いたくかため、きはぎはしきは、いとうたてこそおぼゆれ」(出典：枕草子（１０Ｃ終）一七八)
7. ⑥ 矢を放つとき、弓を引きしぼってそのままの状態でちょっと保つ。
   1. [初出の実例]「大矢を打ちくはせ、しばしかためて兵(ひょう)ど射る」(出典：保元物語（1220頃か）中)
8. ⑦ 国、家、会社などの状態や意見、決意など、あやふやでまとまりにくいものを、ゆるぎのない確実なものにする。しっかりしたものにする。強固にする。
   1. [初出の実例]「すこしのたくはへして、身体(しんだい)かためざるうちは妻をも持ず」(出典：浮世草子・西鶴織留（1694）四)
   2. 「園子も最後の決心を固(カタ)め」(出典：親子（1903‐04）〈国木田独歩〉上)
9. ⑧ 一つの物ばかりで形づくる。ある好ましくない物事ばかりで事態に対処する。また、ある範囲、ある傾向の人たちばかりで構成する。
   1. [初出の実例]「とかく無分別でかためた男に、相手になるがうつけと」(出典：浮世草子・好色万金丹（1694）二)
   2. 「資本も親類中から集め、役員も親類中で堅(カタ)め」(出典：社会百面相（1902）〈内田魯庵〉投機)
10. ⑨ 一つにまとめる。
    1. [初出の実例]「多賀の丞、女虎(めとら)、三津之助、升若(しゃうじゃく)、を一緒に団固(カタメ)たやうな婦人(をんな)で」(出典：落語・成田小僧（下の巻）（1890）〈三代目三遊亭円遊〉)
11. ⑩ 柔道で、相手をおさえ込んで動けなくする。
12. ⑪ レスリングで、相手の両肩を同時にマットにつける。フォールする。

出典　精選版 日本国語大辞典