自治体の人事行政を担う第三者機関。国の人事院に相当し、都道府県と政令指定都市には設置が義務付けられている。公務員はストライキができないなど労働基本権の一部が制限されており、労使交渉で給与を決められない。代わりに各人事委が地元の民間企業の給与水準を調査し、官民に差がある場合は改定を勧告する。人事委のない市町村は、都道府県の勧告などを参考にする。
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地方公務員法に基づき地方公共団体に置かれる人事行政に関する独立行政委員会。議会の同意を得て長が選任する3人の委員で構成される。国における人事院にあたる。都道府県および政令指定都市にはかならず設置される。人口15万人以上の市および東京都の特別区には条例で人事委員会または公平委員会を設置しなければならない。人口15万人未満の市町村と地方公共団体の組合には公平委員会が置かれる。専門技術的な人事行政の円滑な運営を確保し、人事の公正を期するため、任命権者から独立した権限を有する。おもな権限として、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関する措置要求の審査、不利益処分の審査などの準司法的権限、法律または条例に基づきその権限に属せしめられた事項につき委員会規則を制定する準立法的権限、人事行政に関する調査研究・企画立案のほか、給料表改訂の勧告などの行政的権限がある。いわゆる人事委員会勧告は地方公務員の労働基本権制限の代償措置とされている。
[阿部泰隆]
地方公務員法7条は都道府県と政令指定都市は条例をもって人事委員会を設置せねばならないこと,また人口15万人以上の市と東京特別区は同じく条例で人事委員会ないし公平委員会を設けねばならないとしている。人事委員会は議会の同意を得て首長が任命する3名の人事委員からなる合議制の行政機関であり,職務について高い独立性を保障されている。人事委員会の主たる機能は,民主的な公務員制度の運営のために人事行政の科学性,能率性,公平性の確保とならんで,公務員の労働基本権が制約されている状況下において労使関係の調整にあたることにある。このために人事委員会は人事規則の制定権,勤務条件や不利益処分に対する審査と判定権,給与その他勤務条件改善の勧告権をもつ。広範な権限をもつ人事委員会には,首長の人事権を制約するとの批判があり,他方,職別組合からは当局との癒着が問題視されてもいる。
→人事院
執筆者:新藤 宗幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…(1)地方公務員法7条は人事行政の公正・中立な運営のために,政令指定都市を除く人口15万人以上の市と特別区は人事委員会ないし公平委員会を置くものとし,また人口15万人未満の市と町村等は公平委員会を置くものとしている(ただし,公平委員会を他の地方公共団体と共同設置し,または他の地方公共団体の人事委員会に事務を委託することもできる)。前者に属する市のうち人事委員会を設けているのは仙台市のみであり,大部分の市は公平委員会を置いている。…
※「人事委員会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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