塚原古墳群(読み)つかはらこふんぐん

日本歴史地名大系 「塚原古墳群」の解説

塚原古墳群
つかはらこふんぐん

[現在地名]高槻市塚原二―三丁目・大和二丁目・阿武野一丁目

阿武あぶ山の東・南麓に分布する古墳時代後期群集墳。英国人ゴーランドによって紹介されるなど、早くから学界に知られた古墳群で、総数はこれまでに一一四基が確認されているが、三十数基が現存、三四基が調査された。円墳と方墳とからなり、その分布状態から十数支群に分けられる。内部主体は各型式の横穴式石室を主とするが、ほかに竪穴式石室木棺直葬も認められる。


塚原古墳群
つかわらこふんぐん

[現在地名]城南町塚原 丸尾・丸山・北原

江戸時代に古墳群の存在が知られており、「国誌」に「九十九塚 塚原ノ地名依之」と記される。九州自動車道のルート決定時には前方後円墳花見はなみ塚・琵琶びわ塚、円墳のくぬぎ塚・三段さんだん塚、丸山まるやま第二号墳・りゅうがん塚・石之室いしのむろ古墳などが残存していた。昭和四七年(一九七二)から二年間の調査の結果、新たに方形周溝墓三八基・円墳三九基・石棺一九基・石蓋土壙一基・墓道二条などが発見され、さらに中世の土壙墓四六基などが確認された。これらの墳墓は北側台地の最も高い部分に整然と並んだ方形周溝墓群、その南側にくぬぎ塚など直径四〇メートル級の円墳群、さらに南側に琵琶塚を中心とする小円墳群・石棺群などから構成されていた。


塚原古墳群
つかばらこふんぐん

[現在地名]月夜野町上津

利根川の支流赤谷あかや川の右岸に東西に形成された段丘面に位置する、現在までのところ、これより上流では古墳は発見されていない。昭和二八年(一九五三)段階で、この地域一帯で四二基の古墳が確認されている。その後も大きく破壊消失することなく、比較的よく旧状を残している。主体部の明らかなものは七基であり、すべて横穴式石室である。他のものについても墳丘の形状、位置関係から横穴式であることが推定され、当古墳群は小型横穴式古墳多数からなるいわゆる群集墳形態のものとみられる。主体部が明らかなものについてみると、袖無型石室を有するもの四基、両袖型石室を有するもの三基である。


塚原古墳群
つかはらこふんぐん

[現在地名]米原町枝折

醒井さめがい渓谷の谷口部に点在する古墳時代後期の群集墳。墳丘はすでに失われていて正確な数は不明だが、昭和五五年(一九八〇)と五七年の調査で三基が確認されている。古墳の主体部はいずれも横穴式石室。二号墳では石室内より須恵器土師器・鉄鏃などのほか馬具および人骨七体が出土した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「塚原古墳群」の意味・わかりやすい解説

塚原古墳群 (つかはらこふんぐん)

熊本市の旧城南町塚原にある4世紀末~7世紀前半の古墳群。江戸時代の地誌《肥後国誌》に〈塚原村ニ九十九塚有〉と記された所で,九州自動車道建設に伴い1972-74年に調査された。その結果,石棺や木棺の周囲に方形の溝をめぐらした方形周溝墓38,円墳39,石棺19,石蓋土坑墓1などが見つかった。台地の最も高い部分に最大の方形周溝墓(一辺26m)があり,それを中心に方形周溝墓が整然と並び,高塚古墳がこれをとりまくような状態で分布する。また北側では円墳を中心にして方形周溝墓や小円墳群,南側では前方後円墳を中心に小円墳が群集する。このように4世紀の終りごろ突如として出現した方形周溝墓が,やがて円墳や前方後円墳へ展開するようすを,同一の台地上で実見できる重要な遺跡であることから,工事はトンネル工法に変更されて保存され,76年国指定史跡となった。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

国指定史跡ガイド 「塚原古墳群」の解説

つかわらこふんぐん【塚原古墳群】


熊本県熊本市城南町にある古墳群。熊本平野の南端、浜戸川と支流が形成する塚原台地の標高約30mの地点に営まれた古墳群。南と北の丘陵からは方形周溝墓39基、円墳・小円墳34基、前方後円墳2基、石棺18基、土坑墓1基が発見された。方形周溝墓は比較的大規模なものが北丘陵上の南に、小規模なものが北に集中。また円墳・小円墳中で大規模なものは、北丘陵の南・北部に点在しているが、南丘陵ではもっぱら南縁に大規模なものが、北縁に小規模なものが集中する。前方後円墳は3基が存在したと伝えられているが、現在は、琵琶塚(びわづか)古墳、花見塚古墳が見られる。調査の結果、この地域には古墳時代前期末から後期後半にわたる墓制が方形周溝墓、円墳がともに共存しながら展開していることが判明。さらに首長墓とされる前方後円墳も見られるなど、集落の内部における身分的な差が古墳群の上に示されていることから重要な古墳群とされ、1976年(昭和51)に国の史跡に指定された。城南町歴史民俗資料館に関係資料を展示。JR鹿児島本線ほか熊本駅の交通センターから産交バス「塚原」下車、徒歩約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

防府市歴史用語集 「塚原古墳群」の解説

塚原古墳群

 下右田の塚原地区にある群集墳[ぐんしゅうふん]です。右田ヶ岳の南に広がる群集墳の一部です。

出典 ほうふWeb歴史館防府市歴史用語集について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android