大府(読み)タイフ

デジタル大辞泉 「大府」の意味・読み・例文・類語

たい‐ふ【大府】

古代中国の官名。六官の一。財政をつかさどった。
大蔵省唐名

おおぶ〔おほぶ〕【大府】

愛知県知多半島の基部にある市。名古屋市に隣接し、住宅地化が進行。ブドウメロンの栽培や自動車関連工業が盛ん。人口8.5万(2010)。

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精選版 日本国語大辞典 「大府」の意味・読み・例文・類語

たい‐ふ【大府】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 昔、中国で、宮廷や政府の器物を収納した蔵。転じて、それを管理し、また財政をつかさどった官。
    1. [初出の実例]「玄武門にして、文本、中書侍郎として兄大府卿及び治書府の御史馬周給事中韋琨等、対ひ坐して」(出典:今昔物語集(1120頃か)九)
    2. [その他の文献]〔周礼‐天官・大府〕
  3. 中国、唐代の郡守の敬称
    1. [初出の実例]「郡守を大府と称し、別駕長吏を、少府と称することもあり。今の俗に大殿、少殿と云が如し」(出典:随筆・駒谷芻言(1782))
  4. 大蔵省(おおくらしょう)の唐名。
    1. [初出の実例]「大蔵卿 大蔵省大府或大府寺」(出典:拾芥抄(13‐14C)中)
  5. 大宰府(だざいふ)略称
    1. [初出の実例]「仍言上公家。不越訴。始已愁大府了」(出典:小右記‐長元二年(1029)九月五日)
  6. 幕府の敬称。
    1. [初出の実例]「菅麟嶼幼才気颷発、年十三、擢列大府儒官」(出典:先哲叢談(1816)六)
  7. 大名家老などの敬称。
  8. だいふ(大府)

だい‐ふ【大府】

  1. 〘 名詞 〙 大きな街。大都市
    1. [初出の実例]「法律瑣列都謨(ハリソレツム)は杜烏羅(トウロ)河辺の大府にして」(出典:輿地誌略(1826)二)

おおぶおほぶ【大府】

  1. 愛知県南西部の地名知多半島基部の東側にある。古くは「大夫」、近世は「大符」とも書いた。名古屋市に隣接する住宅都市。昭和四五年(一九七〇市制

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大府」の意味・わかりやすい解説

大府(市)
おおぶ

愛知県南西部、知多(ちた)半島基部の東側にある市。境川を挟んで刈谷(かりや)市に対している。1970年(昭和45)市制施行。JR東海道本線が通じ、武豊線(たけとよせん)を分岐する。国道23号、155号、366号のほか西部を南北方向に知多半島道路も走り、北西端、東海市にまたがって伊勢湾岸自動車道大府インターチェンジがある。知多半島を構成する尾張(おわり)丘陵は緩やかな起伏で、早くから酪農、果樹の産地。第二次世界大戦後はタマネギ、キャベツなどの野菜やブドウ栽培が盛んで、ブドウの観光農園もある。丘陵地は名古屋市東郊のベッドタウンとして宅地化が進んでいる。工業は自動車関連工場が多い。地名は、古くは「大夫」、近世は「大符」といい伊勢(いせ)神宮の神符に関係があるといわれる。サクラの名所桃山公園、藤井神社蔵の「藤井宮御酒瓶子(へいじ)」、延命(えんめい)寺の刺繍普賢菩薩(ししゅうふげんぼさつ)像、円通寺の木造毘沙門天(びしゃもんてん)立像(ともに県指定文化財)の文化財があるほか、長草天神社のどぶろく祭りには、一般参詣(さんけい)者にどぶろくをふるまう風習がある。面積33.66平方キロメートル、人口9万3123(2020)。

[伊藤郷平]

『『大府市誌』全9冊(1982~1991・大府市)』


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改訂新版 世界大百科事典 「大府」の意味・わかりやすい解説

大府[市] (おおぶ)

愛知県西部,知多半島の基部に位置する市。名古屋市の南に接し,東海道本線と武豊線の分岐点にあたる。1970年市制。人口8万5249(2010)。古くから名古屋市の近郊農業地域であり,特に愛知用水の通水(1961)で従来の蔬菜栽培に加えて果樹栽培も盛んになり,近年では観光農業としてのブドウ狩りに人気がある。市内の中央部を南北に走る東海道本線沿いに輸送用機械器具製造業を中心とした工場が立地する。昭和40年代に名四国道,知多半島道路が整備されて輸送能力が増し,内陸工業地帯としての性格が強まった。伊勢湾岸自動車道のインターチェンジがあり,知多半島道路を分ける。長草町本郷にある天神社では2月下旬に〈どぶろく祭〉が行われる。
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百科事典マイペディア 「大府」の意味・わかりやすい解説

大府[市]【おおぶ】

愛知県西部の市。1970年市制。知多丘陵の北端に位置し,東部を愛知用水が流れる。名古屋市の南東に接し,東海道本線と武豊(たけとよ)線の分岐点をなす。モモ,ブドウ,施設園芸など都市近郊農業が行われる。輸送用機器,金属などの工業が発展している。近年宅地化が著しい。33.66km2。8万5249人(2010)。

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