安国寺・利生塔(読み)あんこくじ・りしょうとう

百科事典マイペディア 「安国寺・利生塔」の意味・わかりやすい解説

安国寺・利生塔【あんこくじ・りしょうとう】

南北朝時代全国に建立された寺塔足利尊氏・直義(ただよし)兄弟は,夢窓疎石の勧めで,1338年ころから各国に一寺(安国寺)一塔(利生塔)の建設を始めた。寺は既存禅宗寺院を改修した場合が多い。元弘年間(1331年−1334年)以来の戦没者慰霊と同時に足利氏威信天下に誇示しようとした意味があり,これによって禅宗は地方に発展し,禅宗以外の宗教統制を受けた。諸国安国寺の筆頭は丹波安国寺(現京都府綾部市)。
→関連項目清見寺不動院薬師寺

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旺文社日本史事典 三訂版 「安国寺・利生塔」の解説

安国寺・利生塔
あんこくじ・りしょうとう

南北朝時代,足利尊氏・直義が全国に設けた寺・塔
夢窓疎石の勧めで後醍醐 (ごだいご) 天皇以下戦死者の冥福を祈り,天下統一誇示のため,国ごとに1寺1塔を設置,光厳 (こうごん) 院の院宣 (いんぜん) を得,寺を安国,塔を利生と称した。在来の寺・塔を修補したものが多い。臨済宗の地方波及と他宗派の統制に役だったが,室町幕府衰退とともに衰えた。

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