デジタル大辞泉
「連」の意味・読み・例文・類語
れん【連】
[名]
1 「連勝式」の略。
2 仲間。つれ。また、ひいき筋。
「広場へ出して押しあはしたら、駄菓子をくれる―もできめえ」〈人・梅児誉美・後〉
3 《reamの音訳。「嗹」とも書く》用紙を数える単位。1000枚を一連とする。
4 他の語の下に付いて、つれ、仲間、連中、の意を表す。やや軽侮の念を含んでいうことが多い。「奥様連」「学生連」
5 植物分類学上の階級の一。→族3
[接尾](「聯」とも書く)助数詞。
1 ひとまとめにくくった物や、連ねた物を数えるのに用いる。「数珠一連」
2 鷹を数えるのに用いる。
[類語]方・達・共・等・等・等等
つら【連/▽列】
1 つらなること。行列。
「くれはどりあやにかしこく織るはたの越路の雁の―をなしける」〈夫木・一二〉
2 仲間。連れ。
「初雁は恋しき人の―なれや旅の空飛ぶ声のかなしき」〈源・須磨〉
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れん【連・嗹・鏈】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① つらなること。つらねること。また、ひとつにつらなったもの。ひとつにつらねたもの。
- [初出の実例]「連にしたる鰹節を台に載せ」(出典:歌舞伎・小袖曾我薊色縫(十六夜清心)(1859)五立)
- [その他の文献]〔広雅‐釈詁二〕
- ② なかま。つれ。また、贔負(ひいき)連中。
- [初出の実例]「これは誹諧のすり物さ〈略〉わっちが連(レン)のすりものさ」(出典:洒落本・青楼娭言解(1802)一)
- ③ 箏(そう)の奏法の一つ。楽箏では並んでいる数絃を親指で手前から向こうの方へ微音ですみやかに撫でるように弾く手法。俗箏では、爪の裏で弾く裏連(「さらりん」と俗称)や中指で手前に弾く引連(ひきれん)もある。洋楽でいうグリッサンドにあたる。〔楽家録(1690)〕
- ④ 中世、番匠の階層の一つ。大工・長に連なる。
- [初出の実例]「権大工 九人〈略〉長 六人〈略〉連 七人紺布 各一段」(出典:東大寺続要録(1281‐1300頃)諸院篇)
- ⑤ 数学で、何種類かのものを並べた列において、特定の種類のものが連続している部分のこと。その連続しているものの個数をその連の長さという。たとえば、abc bbb cac における bbb は b の長さ3の連である。
- ⑥ 連珠で、同色の珠が連続していること。〔モダン新用語辞典(1931)〕
- ⑦ 植物分類学の階級を示す用語。「科(か)」と「属(ぞく)」との中間に置く。「族(ぞく)」ともいう。
- ⑧ ( [英語] ream の当て字。古くは「嗹」とも書く ) 洋紙をかぞえる単位。各国の習慣により枚数は種々さまざまである。日本では五〇〇枚を一連としていたが、昭和三三年(一九五八)メートル法採用以後は一〇〇〇枚を一連とするようになった。
- [初出の実例]「『毎日』が先月紙店の払ひが出来なかったので、今日から其日々々に一聯宛買ふさうだとか」(出典:菊池君(1908)〈石川啄木〉四)
- ⑨ ( 鏈 ) 丈夫な綱。また、鎖のこと。
- [初出の実例]「Ecraseur 鋼鉄ニテ製シタル鏈ノ類(瘤癌等ヲ除キ去ルニ用ユ)」(出典:医語類聚(1872)〈奥山虎章〉)
- ⑩ 「れんしょうしき(連勝式)」の略。
- [初出の実例]「有峯は、単で五万円ほど買おうと、思った。連となると難しくなる」(出典:場外の王者(1972)〈黒岩重吾〉情報の早さ)
- [ 2 ] 〘 接尾語 〙 ( 古くは「聯」とも書く )
- ① ひとまとめにくくったものやひとつながりにつらねたものの数を数えるのに用いる。
- (イ) ばらばらの同種のもの、篠竹(しのだけ)・釘(くぎ)などを、縄・紐などでひとまとめにくくったものを数えるのにいう。
- [初出の実例]「大神社一座、〈略〉弓七張、箟(しの)二連、鹿皮十張」(出典:延喜式(927)一)
- (ロ) 紐・糸などで貫きつらねて作ったもの、数珠(じゅず)・銭差(ぜにさし)など、また、一枚に張ったり編んだりして作ったもの、紙旗・筵(むしろ)などの数を数えるのにいう。
- [初出の実例]「紫檀・琉璃・装束・念珠一連」(出典:参天台五台山記(1072‐73)一)
- (ハ) 果物(くだもの)や干物(ひもの)にした食品などのいくつかを、縄や紐、また串などで貫きつらねたものを一単位として数えるのにいう。多く、一〇個を一つながりにした。
- [初出の実例]「次各祭二八神一、其料、〈略〉酒一缶、米五斗、鰒堅魚各一連、雑腊一籠、海藻一連」(出典:貞観儀式(872)三)
- (ニ) ( 「鏈」とも書く ) くさりの数を数えるのに用いる。
- ② 鷹の数を数えるのに用いる。手につらね据えるところからいったものか。
- [初出の実例]「引出物馬一疋・鷹一聯・犬一牙」(出典:九暦‐九条殿記・年中行事・承平四年(934)正月四日)
- [その他の文献]〔酉陽雑俎〕
- [ 3 ] 〘 造語要素 〙 人や人のありさまなどを表わす名詞に付いて、なかま、つれ、連中の意味を表わす。やや軽侮の気持を含んで用いる場合が多い。
- [初出の実例]「大概腕力党や頑固連(がんこレン)や、世間見ずの坊チャン派だが」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉七)
つれ【連】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「つれる(連)」の連用形の名詞化 )
- ① つれること。いっしょに伴い行くこと。また、伴う人。いっしょに行く仲間。道づれ。同伴者。
- [初出の実例]「道をゆくにともなふ人をつれとなづく、如何。答、つれは通礼也」(出典:名語記(1275)四)
- ② 行動をともにする者。仲間。友。友人。また、伴侶。配偶者。
- [初出の実例]「何やらに菊を秋靖節としたぞ、海棠を春の貴妃のつれぞ」(出典:蠡測集(16C中頃))
- ③ 春宮坊(とうぐうぼう)の帯刀(たちはき)舎人の名称。令制の春宮護衛の武官の帯刀の先生(せんじょう)に率いられる部下たちのこと。
- [初出の実例]「帯刀上曰〈略〉連五人」(出典:兵範記‐仁安三年(1168)三月九日)
- ④ 能で、仕手(して)または脇(わき)に伴って、その演技を助けるもの。普通「ツレ」と記し、シテ方に属する者をシテヅレ、略してツレ、ワキ方に属する者をワキヅレという。
- [初出の実例]「脇の能、大臣には、先は、上下水干成べし。つれ大臣は大口也」(出典:申楽談儀(1430)能の色どり)
- ⑤ 多く、「その」「あの」「この」などの指示語の下に付いて、種類・程度、または、そのようなもの、などの意を表わす。
- [初出の実例]「亭子(し)は子はつけ字ぞ 枕子(す)扇子(す)のつれ也 さりながら亭子(し)とよむべしぞ」(出典:三体詩幻雲抄(1527))
- 「すぐれたる程自慢するを、上と中の男が聞き、あのつれをこそ大きなる事と思ふらめと申て笑」(出典:甲陽軍鑑(17C初)品一三)
- ⑥ 「つれじゃみせん(連三味線)」の略。
- ⑦ 「つれぶし(連節)」の略。
むらじ【連】
- 〘 名詞 〙 ( 「むらぬし(村主)」の意か )
- ① 姓(かばね)の名。令制前、首長の称号として神別(しんべつ)の者に賜わった。臣(おみ)と並ぶ有力豪族が多く、臣下の最高位にあって、大伴(おおとも)氏、物部(もののべ)氏からは大連(おおむらじ)が任ぜられて朝政を担当した。
- [初出の実例]「此三柱の綿津見神は、阿曇連(むらじ)等が祖神と以伊都久神ぞ」(出典:古事記(712)上)
- ② 天武天皇の時に制定された八色(やくさ)の姓(かばね)の七番目の姓。
- [初出の実例]「卅八氏(みそちあまりやうち)に姓(かはね)を賜(たま)ふて連(ムラシ)と曰ふ」(出典:釈日本紀(1274‐1301)二一)
づれ【連】
- 〘 接尾語 〙 ( 動詞「つれる(連)」の連用形から )
- ① 人を表わす名詞に付いて、その人を連れていること、または、それらの人々が連れ立っていることの意を表わす。「子どもづれ」「親子づれ」「二人づれ」など。
- [初出の実例]「おびくに、ふたりづれにてくる」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前)
- ② 名詞に付いて、たかだかその仲間である意を添えて、さげすんだり、自らへりくだったりして用いる。
- [初出の実例]「つばくらやすずめづれの小鳥はなにが鴻やつるのつれの大な鳥の心をばしらうぞ」(出典:玉塵抄(1563)二四)
- ③ 人名や人を表わすことばに付いて、それを軽んじののしるのに用いる。
- [初出の実例]「Qisozzureni(キソヅレニ) カタラワレテ ゴ ジュヲク アラウ コトワ シカルビョウモ ナイ」(出典:天草本平家(1592)四)
つらなり【連】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「つらなる(連)」の連用形の名詞化 ) つらなること。つらなっているもの。
- [初出の実例]「御仏の道に入りたれば名の上の縁は絶えたれど、血の聯続(ツラナリ)は絶えぬ間(なか)」(出典:二日物語(1892‐1901)〈幸田露伴〉彼一日)
つるべ【連】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「つるぶ(連)」の連用形の名詞化 )( 「釣瓶」はあて字 ) 「つるべぜに(連銭)」の略。
- [初出の実例]「お銭(あし)の数もこれ爰に、釣瓶で四百四十文」(出典:歌舞伎・曾我梅菊念力弦(1818)三立)
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連(むらじ)
むらじ
古代の姓(かばね)の一つ。語源については「群主(ムレアルジ)」説、首長を意味する朝鮮語説などがある。連姓氏族は570余を数え、多く天孫、天神の後裔(こうえい)と称する。部民(べみん)制が発達してくる5世紀後半ごろより大和(やまと)朝廷に仕える有力な伴造(とものみやつこ)に与えられた。連姓氏族は鏡作連(かがみつくりのむらじ)、舂米連(つきねのむらじ)、犬養連(いぬかいのむらじ)のように、世襲する職業名を氏(うじ)の名に負い、それぞれ鏡作部、舂米部、犬養部などの部民を率いて朝廷の職務を分担した。連姓の有力氏族の大伴連(おおとものむらじ)、物部連(もののべのむらじ)の族長は大連(おおむらじ)に任命され、大臣(おおおみ)と並んで大和朝廷の最高責任者となった。684年(天武天皇13)の八色(やくさ)の姓(かばね)制定に際し、連姓の有力氏は第二、三位の朝臣(あそん)、宿禰(すくね)を賜姓され、その後長く特権的な貴族階級を構成した。
[前之園亮一]
『太田亮著『全訂日本上代社会組織の研究』(1955・邦光書房)』▽『阿部武彦著『氏姓』(1966・至文堂)』▽『溝口睦子著『日本古代氏族系譜の成立』(1982・学習院)』
連(れん)
れん
洋紙、板紙およびセロファンの取引に用いる単位の一つ。嗹(れん)とも書く。巻紙という意味のアラビア語リズマに発し、スペイン語、英語(ream)を経て日本語に音訳されたといわれる。日本では500枚を一連としていたが、メートル法採用(1959年10月)以後、平判(ひらばん)の場合、規定寸法に仕上げた洋紙では1000枚を、板紙では100枚を一連とし、巻取りの場合、規定寸法の紙1000枚分を、板紙では100枚分を一連としている。各国とも種々商慣習があり一連の量は一定しないが、印刷用紙では500枚をもって一連とする例が多い。なお連の重量を連量といい、日本ではkgで、英米ではlbsで表す。
[御田昭雄 2016年4月18日]
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連 (むらじ)
古代日本の姓(かばね)の一つ。〈むらじ〉の語源は諸説あるが,ムラ(村)ジ(主)の意かといわれており,古くは尊称であったらしい。連の姓を帯びる氏族に中臣連,大伴連,物部連などがあるように,連は品部を統率した有力な伴造氏族の姓。なかでも大伴連,物部連の両氏は,6世紀初頭から大連として勢力を朝廷で振るい,684年(天武13)の八色の姓(やくさのかばね)の制定にともなって,連姓の諸氏族は第2位の朝臣(あそん)と第3位の宿禰(すくね)の姓を与えられている。他方,683年9月に水取造,矢田部造,藤原部造,刑部造など多くの造(みやつこ)姓氏族が連の姓を賜っているが,これらの新しく連姓となった諸氏族は,翌年の八色の姓では,第7位の連の姓に位置づけられることになった。新旧の連の姓をとおして,伴造氏族の政治的・社会的位置づけがうかがえる。
執筆者:佐伯 有清
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
連【むらじ】
日本古代の姓(かばね)の一つ。神話の神々の子孫と称し,古くから皇室に従い,大和朝廷で連姓の豪族は臣(おみ)姓の豪族に対抗する地位を占めた。天武朝の八色(やくさ)の姓で,連のうちの有力な物部(もののべ)・中臣(なかとみ)両氏は朝臣(あそん),大伴氏以下は宿禰(すくね)と改姓。
→関連項目土師氏
連【れん】
紙の商取引の単位の一つ。英語のreamの転。平判(ひらばん)の場合は規定の寸法に仕上げた紙1000枚(外国では普通500枚)分,巻取りの場合は規定の寸法の紙1000枚(外国では普通500枚)分を1連とする。なお1連の紙の重量を連量といい,キログラムで示す。→坪量
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
連
むらじ
古代のカバネ。群(ムレ)あるいは村(ムラ)の主(アルジ)の意というが,古代朝鮮語からきたという説もある。神別の系譜をもち,職業を氏の名とする諸氏が多い。品部(しなべ)を率いて大和政権に奉仕した伴造(とものみやつこ)のうち有力なものに与えられ,物部氏や大伴氏は大連として政権を担った。連姓の成立を7世紀に求める説もあるが,部民制の成立との関連を想定し,5世紀後半と考えるべきであろう。683年(天武12)以降の氏姓制再編成に際して,旧造姓の氏族に連姓が与えられた。684年に制定された八色の姓(やくさのかばね)では第7等におかれ,旧連姓氏族は一部が第2等の朝臣(あそん)姓を,多くは第3等の宿禰(すくね)姓を与えられた。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
連
むらじ
古代の姓 (かばね) の一つ。主として神別の氏族で,伴部を率いて朝廷に仕える氏族に与えられた。連姓の最有力者大伴,物部の両氏が大連として,大臣とともに大和朝廷の頂点に立った。天武朝八色の姓 (やくさのかばね) 制定のとき,連姓の大部分は朝臣 (あそん) ,宿禰 (すくね) を賜わり,連は第7位の姓となった。
連
れん
stanza
スタンザ,節,またフランス詩ではストローフともいう。一定数 (普通4~12) の詩行が集って詩の一単位となるもの。押韻は必須ではないが,各連は同一の形式をもつことが原則とされる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
連
むらじ
古代の姓 (かばね) の一つ
臣 (おみ) とともに伴造 (とものみやつこ) 系の中央の最有力豪族に多い。その中から大伴・物部氏のように大連 (おおむらじ) が出て,大臣 (おおおみ) とともに国政を統轄した。684年天武天皇が制定した八色の姓 (やくさのかばね) では,有力な連は宿禰 (すくね) ・朝臣 (あそん) になり,その他の連は第7位に下がった。
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
世界大百科事典(旧版)内の連の言及
【氏姓制度】より
…
[政治制度としての氏姓制度]
このような制度は,原始共同体において,氏族や部族が社会の単位となった,いわゆる氏族制度とは異なる。もちろん,氏姓制度の基盤も,血縁集団としての同族にあったが,それが国家の政治制度として編成しなおされ,同族のなかの特定のものが,[臣](おみ),[連](むらじ),[伴造](とものみやつこ),[国造](くにのみやつこ),それに百八十部(ももあまりやそのとも)などの地位をあたえられ,それに応ずる氏姓を賜ったところに特色がある。その成立時期は,おそらく5,6世紀をさかのぼらないであろう。…
【伴造】より
…その場合には上位と下位2段階の伴造がふくまれる。たとえば,宮廷の神事・祭祀をつかさどる忌部(いんべ)氏は,上位の伴造は忌部連(むらじ)といい,下位のそれは忌部首(おびと)という。彼らは全国におかれた忌部を名のる部民集団を統轄して,必要物資を貢納させるほか,ときには賦役も徴用し,朝廷の職務を遂行した。…
【八色の姓】より
…天武の新姓ともいう。《日本書紀》天武13年10月条に〈諸氏の族姓(かばね)を改めて,八色の姓を作りて,天下の万姓を混(まろか)す〉とあり,[真人](まひと),[朝臣](あそん∥あそみ),[宿禰](すくね),[忌寸](いみき),道師(みちのし),[臣](おみ),[連](むらじ),稲置(いなぎ)の8種類があげられている。第1の真人は,主として継体天皇以降の天皇の近親で,従来,公([君])(きみ)の姓を称していたものに授けられた。…
※「連」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」