(読み)ガク

デジタル大辞泉 「岳」の意味・読み・例文・類語

がく【岳〔嶽〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]ガク(呉)(漢) [訓]たけ
〈ガク〉
ごつごつと高く険しい山。「岳麓がくろく山岳富岳
妻の父を尊敬していう語。「岳翁岳父
〈たけ〉高い山。「御岳みたけ
[名のり]おか・たか・たかし

たけ【岳/×嶽】

《「だけ」とも》
高くて大きい山。高山。
山のいただき。頂上。〈日葡

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精選版 日本国語大辞典 「岳」の意味・読み・例文・類語

たけ【岳・嶽】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「だけ」とも ) 高く大きな山。高山。
    1. [初出の実例]「竺紫の日向の高千穂のくじふる多気(タケ)に天降りまさしめき」(出典:古事記(712)上)
    2. 「ふじの山、なにがしのたけなど、かたりきこゆるもあり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)

岳の語誌

( 1 )「たけ(長・丈)」とともに、形容詞「たかし(高)」の語幹「たか」と同根で、下二段動詞「たく(長)」とも関連付けられる。特に方言では、薪や茸などを採る生活圏内のヤマに対して、しばしば信仰の対象となる生活圏外のものを指す。
( 2 )中世の辞書類には多くダケがあげられ、「日葡辞書」にも「本来の語は Daqe(だけ)である」とあるなど、濁音形ダケが単独でも用いられたが、第一音は本来清音。


がく【岳・嶽】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 高くて大きな山。たけ。
    1. [初出の実例]「岳 カク ヲカ 又作嶽」(出典:色葉字類抄(1177‐81))
  3. 岡。丘陵。
    1. [初出の実例]「Gacu(ガク)。ヲカ〈訳〉小山、丘」(出典:日葡辞書(1603‐04))

や‐たけ【岳・嶽】

  1. 〘 名詞 〙 高い山。たけ。峰。
    1. [初出の実例]「妻恋のやたけの雉心せよ通ふ裾野も人あさるなり〈顕昭〉」(出典:六百番歌合(1193頃)春・中・一二番)

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普及版 字通 「岳」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

(旧字)嶽
17画

[字音] ガク
[字訓] やま・たけ

[説文解字]
[甲骨文]

[字形] 象形
嶽の初文。嶽はその形声字。卜文の字形は山上に羊頭の形をしるす。岳は嵩嶽の古名。その嶽神は伯夷で姜姓の祖。〔詩、大雅、高〕に「維(こ)れ嶽、し 甫と申とを生めり」とあり、甫(呂)・申・許・斉は姜姓四国。〔左伝、荘二十二年〕「姜は大嶽の後なり」、〔国語、語〕「姜は伯夷の後なり」とみえる。羌は牧羊人、その始祖たる岳は山上に羊頭を加えた形でしるされた。伯夷・許由・皋陶(こうよう)の夷・由・陶はもと一音の転化したものである。

[訓義]
1. やま、たけ。
2. 四岳、五岳。

[古辞書の訓]
名義抄〕岳 ヲカ・山ノミチ・クマ・サカシ/嶽 ヤマ・ミネ・ヲカ・タケ・ミタケ語彙は嶽字条参照。

[熟語]
岳雲・岳翁・岳家・岳岳岳響岳峙・岳秀・岳丈・岳岳伯・岳父・岳母岳牧・岳立岳霊
[下接語]
河岳・海岳・巨岳・喬岳・群岳・孤岳・五岳・高岳・崑岳・山岳・四岳・峻岳・神岳・崇岳・川岳・藩岳・方岳・令岳・霊岳・列岳

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日本歴史地名大系 「岳」の解説


たけ

[現在地名]富江町岳郷

土取つつとり南東に位置する。近世は富江村の枝郷。南の番所ばんしよ山に寛永一八年(一六四一)遠見番所が置かれた。肥前国の最も南西にある見張所で、南東の壺の笠山つぼのかさやま崎には大筒が置かれ、番人が常駐していた。寛文年間(一六六一―七三)宇久うくこう(現宇久町)から移住して開拓したといわれ、元禄八年(一六九五)銘の墓はその草分の一人五郎右衛門のもの。慶応四年(一八六八)富江調帳では竹村または嶽村とみえ、家数四九・人数三二一、小頭・小頭見習・山掛・山掛見習らの役人がおり、おご納高一九二斤余となっている。



こしきだけ

奥羽山脈中の一主峰御所ごしよ(船形山)から北西に走る尾根西部に位置し、標高一〇一五・六メートル。東根市村山市境界をなす。西麓には村山市の中心をなす楯岡たておかが位置し、明治初年に喜早伊右衛門によって修造された東沢ひがしさわ池があり、これを中心として東沢公園が設けられ、バラ園なども整備され、村山市民の憩の場となっている。

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改訂新版 世界大百科事典 「岳」の意味・わかりやすい解説

岳[温泉] (だけ)

福島県二本松市にある温泉。安達太良(あだたら)山の東麓,標高500~530m前後に位置し,安達太良山の一峰,鉄山(1710m)の火口底部にある元湯から引湯している。単純泉,泉温65℃。かつては元湯に湯小屋があったが,1824年(文政7)の山崩れで埋没し,十文字岳に移った。しかし,戊辰戦争の際に焼かれて深堀に移り,さらにそこも1903年に火災にあったため現位置に移動した。61年に国民温泉に指定され,夏は安達太良山登山,冬はスキーの基地としてにぎわう。近くに79年に完成した防災・灌漑用の岳ダムや東北サファリパークがある。
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百科事典マイペディア 「岳」の意味・わかりやすい解説

岳[温泉]【だけ】

福島県二本松市の市街西方9km。安達太良山(あだたらやま)東麓の高原にある。酸性緑バン泉。65℃。古代・中世から開湯とする所伝があり,江戸時代には二本松藩による温泉街の建設もあった。湯は約8km離れた鉄山から引く。国民保養温泉で,避暑,安達太良登山,スキーの適地。東北本線二本松駅からバスがある。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【山の神】より

…山は人間に対して,正と負との両面の働きかけをすることにより,恩頼と畏怖の観念を同時に併存させた神秘的な存在であった。 山の領域空間は,人里の周囲の里山,そこから深く入った奥山,さらに険しい岳(たけ)とに分類することができる。里山では焼畑や常畑耕作を行い,草刈りや薪炭の製産を行って,日常的に身近な空間であるが,奥山は深い森林の中で猟師,木地屋(きじや),たたら師などの漂泊的な生産者の活動の場であった。…

※「岳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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