市司(読み)いちのつかさ

精選版 日本国語大辞典の解説

いち‐の‐つかさ【市司】

〘名〙
① 市場の支配者。いちづかさ。
※書紀(720)孝徳・大化二年三月(北野本訓)「市司(いちノつかさ)(みめ)の路・津渡・渡子(わたしもり)の調賦(みつき)を罷(や)めて」
② 令制における官司の一つ。京職の下に属して、市店の財貨、売買のことをつかさどり、また度量の軽重、売買の価格などの非違を取り調べる役所。東市司と西市司があり、職員に正、佑、令史、価長等がある。いちづかさ。
※令義解(718)関市「市司准貨物時価。為三等。十日為一簿。在市案記」

いち‐づかさ【市司】

〘名〙
※色葉字類抄(1177‐81)「市司 イチツカサ」
※雲形本狂言・牛馬(室町末‐近世初)「永代万雑公事(くじ)を御赦免なされ、市司(イチヅカサ)を仰付られうとのお事ぢゃ」

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百科事典マイペディアの解説

市司【いちのつかさ】

日本古代の官設の市に置かれた令制官司平城京以降は東市・西市に置かれた。市は左右京職に属し,(かみ)の下に20員以上の吏員がいた。主として商品の価格公定,市における不正の取締り度量衡の管理,また〈市人籍帳〉を作成し市人を轄した。なお諸国の市にも置かれたとみられる。律令制衰退にともない有名無実化していった。

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

市司
いちのつかさ

令制における官司で,左右京職に属し市を監督する役所
売買・交易をつかさどり,度量衡を管理するほか,市内の治安維持にもあたった。平城京の市司は早くすたれたが,平安京では東市司が鎌倉時代まで存続した。

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世界大百科事典 第2版の解説

いちのつかさ【市司】

日本古代の市における交易その他を管轄する令制の官司。令制以前では《日本書紀》大化2年(646)3月甲申条や斉明5年(659)是歳条にみえるので,古くから存在した海拓榴市(つばいち)や軽市(かるのいち)その他を管轄する官職または官司として設置されていた可能性は大きい。飛鳥浄御原令(あすかきよみはらりよう)では不明だが,大宝令以降では,左右京職の管下に東市司・西市司が置かれて東市・西市(ひがしのいちにしのいち)を管轄し,それぞれ正・・令史各1員のほか価長5人,物部20人その他が配属されていた。

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世界大百科事典内の市司の言及

【市】より

…同様のことは《日本書紀》持統3年(689)11月丙戌条に見える〈中市〉についても言えるが,その所在地は明らかでない。このような初期の市の中には,都宮との関係が深いものが存在し,都城の成立とともに,藤原京の〈市〉や平城京以後の〈東西市(東市・西市)〉,難波京の〈難波市〉など,市司(いちのつかさ)の管理する市へとうけつがれた。これに対して〈餌香市〉〈阿斗桑市〉は,河内の交通の要地に立地した市であるが,河内以外にも《日本書紀》天武1年(672)7月壬子条にみえる近江の〈粟津市〉のごとく各地に市が存在していたとみてよい。…

※「市司」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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