(読み)ショ

デジタル大辞泉 「庶」の意味・読み・例文・類語

しょ【庶】[漢字項目]

常用漢字] [音]ショ(呉)(漢) [訓]こいねがう
一般の人。もろびと。「庶民士庶衆庶
もろもろの。いろいろな。雑多な。「庶政庶務
正妻でない女性から生まれた子。「庶子庶出
こいねがう。「庶幾
[名のり]ちか・もり・もろ
難読庶幾こいねが

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精選版 日本国語大辞典 「庶」の意味・読み・例文・類語

しょ【庶】

  1. 〘 名詞 〙 正妻でない女性の子。妾(めかけ)の子。妾腹。
    1. [初出の実例]「家兄庇其庶、吾則庇其嫡」(出典日本外史(1827)八)

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普及版 字通 「庶」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

[字音] ショ
[字訓] おおい・もろもろ・ねがう

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
广(げん)+廿(じゆう)+火。〔説文〕九下に「屋下の衆なり。广に從ふ。は古の光字なり」とし、徐鉉は「光も亦た衆なり」と補説している。衆庶の意とするものである。广は廚房(ちゆうぼう)、廿は鍋など烹炊(ほうすい)の器の形。鍋の下に火を加え、烹炊を原義とする字。(煮)はその形声字である。(者)は中に呪符として埋めた書であるから、これは煮るべきものではない。また庶は煮る意の字であるが、それを諸の意に用い、庶人・衆庶のようにいう。〔儀礼〕に正饌(せいせん)に対して盛り合わせたものを庶羞(しよしゆう)といい、庶はもと炊き合わせたものをいう。それで庶多の意となり、衆庶の意となり、嫡庶の意となる。庶幾は、それに近い状態をねがうことをいう。

[訓義]
1. 煮る、ごった煮。
2. おおい、もろもろ、ゆたか。
3. 庶羞はそえ膳、正嫡ならざるもの、庶子、分家支族、多くの人、身。
4. 庶幾、ねがう、こいねがう、こいねがわくは。

[古辞書の訓]
名義抄〕庶 ネガフ・スフ・サイハヒ・モロモロ・コヒネガフ・コヒネガハクハ 〔字鏡集〕庶 コヒネガハクハ・ヨロコビ・アラシ・サイハヒ・チカ(シ)・ネガフ・スフ・モロモロ・イヤシ

[声系]
〔説文〕に庶声として(遮)・蹠など四字を収める。は〔説文〕二下に「遏(とど)むるなり」と訓するが、それは塞する意で、もとの声義に含まれるべきものであり、庶声にその義を求めがたいものである。これも庶・の声の互易する例である。

[語系]
庶sjiakとtjya、(諸)tjiaは声近くして通用し、庶多は諸多の意。庶は膳羞の多いことをいい、は呪符・祝の多いことを原義とする。

[熟語]
庶位庶彙庶尹庶殷庶衍・庶官・庶幾・庶・庶姫庶揆・庶旧・庶兄・庶・庶言庶乎・庶功・庶幸・庶国庶獄・庶士庶侈・庶事・庶羞・庶心・庶神・庶人・庶政・庶正・庶生庶績・庶徴・庶物・庶方・庶邦・庶萌・庶望・庶民・庶務・庶尤・庶流・庶僚・庶類・庶黎・庶老
[下接語]
殷庶・億庶・幾庶・黔庶・士庶・支庶・衆庶・烝庶・蒸庶・臣庶・嫡庶・兆庶・長庶・繁庶・万庶・卑庶・鄙庶・品庶・富庶・凡庶・民庶・黎庶

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【軍制】より

…また戦闘員相互の間のけんかは,平時においても両成敗とされた。さらに軍隊を支える役割を公的義務とされた農・工・商の庶民も私戦禁止の対象とされた。1588年の刀狩は,その手段である武器を奪うことによって私戦の能力を剝奪し,紛争を自力で解決できない政治的能力を欠いた被治者として庶民を位置づけるところに,そのねらいがあった。…

※「庶」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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