弁える(読み)ワキマエル

デジタル大辞泉 「弁える」の意味・読み・例文・類語

わきま・える〔わきまへる〕【弁える/×辨える】

[動ア下一][文]わきま・ふ[ハ下二]
物事の違いを見分ける。弁別する。区別する。「事の善悪を―・える」「公私の別を―・えない」
物事の道理をよく知っている。心得ている。「礼儀を―・える」「場所柄を―・えない振る舞い」
つぐなう。弁償する。
「盗みし物だに―・へなば、助けてとらせ」〈読・春雨・樊噲下〉
[類語]悟る物分かり聞き分けわきまえ分別ふんべつ分かり分かる理解知る把握飲み込み承知認識学ぶ了知存知聞知合点了解自覚納得早分かり早飲み込み早合点話せる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「弁える」の意味・読み・例文・類語

わきま・えるわきまへる【弁・辨】

  1. 〘 他動詞 ア行下一(ハ下一) 〙
    [ 文語形 ]わきま・ふ 〘 他動詞 ハ行下二段活用 〙
  2. 物や物事をきちんと見わける。識別する。弁別する。
    1. [初出の実例]「故衆(もろもろ)と相辨(ワキマフル)ときは、辞則ち理を得」(出典日本書紀(720)推古一二年四月(岩崎本平安中期訓))
    2. 「邪正雑り擾(みた)れて、水乳分(ワキマヘ)不らむことを」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝院政期点(1080‐1110頃)八)
  3. 借金借物を返済する。支払う。また、弁償する。
    1. [初出の実例]「母の借る所の稲を員の如く弁へて」(出典:今昔物語集(1120頃か)二〇)
  4. 人として当然知っているべきことを身につけている。「あの人は常識をわきまえている」
    1. [初出の実例]「五常を辨へねば、地獄に堕ちる外はない」(出典:地獄変(1918)〈芥川龍之介〉二〇)
  5. 自分の置かれた立場をよく理解し、行動を律する。「場所柄をわきまえなさい」
    1. [初出の実例]「紬を着ているのは身分をわきまえてのことであろうし」(出典:華岡青洲の妻(1966)〈有吉佐和子〉二)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android