労働争議の解決に向けて当事者双方の意思に基づかないで開始される仲裁。労働委員会の行う争議調整の方法には、斡旋(あっせん)、調停、仲裁の三つがあるが、このうち仲裁は、労働委員会の会長が指名する仲裁委員会が裁定を与えて争議を解決する方法である。仲裁裁定は、争議当事者の受諾を待たずに法的拘束力をもつため、原則として関係当事者双方の意思に基づいて開始される仲裁(任意仲裁)のみが認められている。ただ行政執行法人や地方公営企業については、争議行為が禁止されていることとも関連して、強制仲裁が次のような場合に行われる(行政執行法人の労働関係に関する法律33条、地方公営企業労働関係法15条)。
(1)労働委員会が斡旋または調停を開始したのち2か月を経過しても紛争が解決しない場合に、関係当事者の一方が申請したとき
(2)労働委員会が決議したとき
(3)主務大臣または都道府県知事が請求したとき(後者は地方公営企業の場合)
[木下秀雄・吉田美喜夫]
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…このように強力な争議調整方法であるだけに,仲裁手続の開始は,関係当事者の双方の申請があったとき,または,労働協約に基づき双方か一方かの申請があったときに限られる,任意仲裁が原則である(公益事業についても同様)。ただし,公共企業体等労働関係法(1986年国営企業労働関係法と改称)および地方公営企業労働関係法が適用されるところでは,事業の公共性,調停での解決困難,争議行為禁止の代償などの理由により,任意仲裁のほか,当事者の一方の申請,委員会の決議,主務大臣などの請求によっても開始される強制仲裁の道が開かれている。仲裁は,この公共企業体などにおける例を除いて,私企業の労働争議についてはほとんど活用されていない。…
…したがって,これらの諸国では,私企業における労働争議の調整は労働協約などに規定された制度にのっとってなされることが期待されており,国家的制度はそれに必要な援助を与えるにとどまるとの姿勢がみられる。国家的機関による強制仲裁(仲裁)のような権力的な介入は認められていない。日本もこの系列に属する。…
※「強制仲裁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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