得・獲(読み)える

精選版 日本国語大辞典 「得・獲」の意味・読み・例文・類語

える【得・獲】

[1] 〘他ア下一〙 う 〘他ア下二〙
① 自分のものにする。獲得する。
(イ) 人、物事官位などを手に入れる。また、妻として迎え取る。
万葉(8C後)二・九五「吾はもや安見児(やすみこ)(え)たり皆人の得(え)かてにすといふ安見児衣(エ)たり」
源氏(1001‐14頃)若紫「播磨の守の子の、蔵人より今年かうぶりえたるなりけり」
(ロ) よい時機、位置、程度などを獲得する。
※源氏(1001‐14頃)乙女「殿にも文作りしげく、はかせ才人どもところえたり」
平家(13C前)三「平氏の繁昌折をえたり」
(ハ) (罪、病気など)好ましくない物事を身に受ける。こうむる。
※源氏(1001‐14頃)若紫「罪うることぞとつねに聞こゆるを」
(ニ) (獲) 猟をして鳥や獣などを捕える。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
② (多く「心を得る」「意を得る」などの形で) さとる。理解する。
※源氏(1001‐14頃)橋姫「ものの心をえ給ふ方の」
③ 物事に長じる。得意とする。すぐれる。
古今(905‐914)仮名序「これかれ、えたる所、えぬ所、たがひになむある」
④ 取り入れて利用する。
※虎明本狂言・牛馬(室町末‐近世初)「此両牛の声をえて、朗詠にも作られたり」
⑤ (活用語連体形に「を」または「こと(を)」の付いた形に続けて) 可能の意を表わす。可能とする。…できる。
※史記呂后本紀延久五年点(1073)「長安の憂を脱かるること得(エ)じ」
[2] 〘自ア下一〙 う 〘自ア下二〙 (動詞の連用形に付いて補助動詞のように用いられる) …できる。
※万葉(8C後)一五・三六〇一「しましくもひとりあり宇流(ウル)ものにあれや島のむろの木離れてあるらむ」
※源氏(1001‐14頃)帚木「涙こぼれそめぬれば、折折ごとにえ念じえず」

う【得・獲】

〘他ア下二〙 ⇒える(得)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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