デジタル大辞泉
「御座る」の意味・読み・例文・類語
ござ・る【御座る】
[動ラ四]《四段動詞「ござある」の連体形「ござある」の音変化》
1 「いる」の意の尊敬語。いらっしゃる。おいでになる。
「お奏者はどこもとに―・るぞ」〈虎明狂・餅酒〉
2 「ある」の意の尊敬語。おありになる。
「茗荷をこし召さぬほどに、御失念は―・るまい」〈虎清狂・鈍根草〉
3 「行く」「来る」の意の尊敬語。いらっしゃる。おいでになる。
「いや、誰ぞと存じたれば、やれやれようこそ―・ったれ」〈虎清狂・禁野〉
4 「ある」の意の丁寧語。あります。ございます。
「奏聞申サウズル事ガ―・ル」〈天草本伊曽保・イソポが生涯〉
5 正常な状態でなくなる。
㋐恋をする。ほれる。
「内儀は―・ったふりしてしなだれかかれば」〈浮・夫婦気質・下〉
㋑食べ物が腐る。
「この魚はちと―・った目もとだ」〈滑・膝栗毛・初〉
㋒(「腹がござる」の形で)腹が減る。
「なんと、腹が少し、―・ったぢゃあねえか」〈滑・膝栗毛・四〉
6 (補助動詞)補助動詞「ある」「いる」の意の丁寧語。…でございます。…ております。
「おざれ事で―・らう」〈虎清狂・鈍根草〉
[補説]室町時代から江戸時代までは広く用いられたが、否定形には室町時代には「ござない」が、江戸時代では「ござらぬ」が使われた。また、江戸時代に入ると「まする」「ます」を伴う形がしだいに一般化し、現代では特殊な場合を除いて「ございます」の形が普通になった。
[類語]腐る・傷む・饐える・鯘れる・腐敗する・酸敗する・腐乱する・発酵する/(3)朽ちる・腐食する・腐朽する
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ござ・る【御座】
- 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 ( 「ござある」の変化した語 )
- [ 一 ] 動作・存在の主を敬って用いる。
- ① 「ある」「いる」の尊敬語。
- [初出の実例]「コノザニ ワガ シュウ シャントノ gozarucoto(ゴザルコト) ナレバ」(出典:天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事)
- 「隠居、それにゆるりとござれ」(出典:歌舞伎・傾城壬生大念仏(1702)上)
- ② 「行く」「来る」の尊敬語。
- [初出の実例]「ヨウコソ gozattare(ゴザッタレ)」(出典:ロドリゲス日本大文典(1604‐08))
- 「たった今ござった先生さんも御存だが」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四)
- [ 二 ] 「ある」「いる」の丁寧語。
- [初出の実例]「シタワ コレ ワザワイノ カド ナリト マウス コトワザガ gozareba(ゴザレバ)」(出典:天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事)
- 「道中路銭につきて、すべいよふがござらないから」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)三)
- [ 三 ] ( 多く「ござった」の形で ) 普通の状態でなくなる。
- ① 腐る。変になる。だめになる。
- [初出の実例]「色香にはあらはれねどもなま鯛のちと御坐ったと見ゆる目の内」(出典:狂歌・徳和歌後万載集(1785)九)
- ② 恋して、ある人に夢中になる。
- [初出の実例]「内儀はござった振してしなだれかかれば」(出典:浮世草子・夫婦気質(1751‐64頃)下)
- ③ 空腹になる。
- [初出の実例]「ナント腹がすこしござったじゃアねへか」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)四)
- [ 四 ] 補助動詞として用いる。補助動詞「ある」「いる」の丁寧語。
- [初出の実例]「ワレワ コノ イワレヲ ワキマエテ gozaru(ゴザル)」(出典:天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事)
- 「イヤイヤはやく見切ッたがましで厶(ゴザ)らうト、いふに」(出典:開化自慢(1874)〈山口又市郎〉初)
御座るの語誌
( 1 )成立当初の「ござある」は、天皇などへの最高敬意を表わしたが(「平家物語」「太平記」などの軍記物語)、中世末期以降は、尊敬語よりも丁寧語の用法が中心となり、縮約形「ござる」が一般化する。
( 2 )「ござる」は、江戸期を通じて用いられるが(「ある」の丁寧語としての用例が多い)、前期には「ます」を伴う「ござります」を生じ、後期になると「ござる」に代わって「ございます」が優勢となる。これに伴い、「ござる」は男性の年配者、医者などに使用層が限定され、堅い、または、古くさいという語感が生じた。
( 3 )[ 四 ]の挙例、「開化自慢」に「厶(ゴザ)らう」とあるが、これは江戸時代に芝居小屋で客に茣蓙を貸す場合に、△の記号を用いたことによる。→「ござある(御座有)」の語誌
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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