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仏教音楽 ぶっきょうおんがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

仏教音楽
ぶっきょうおんがく

仏教の儀式で用いられる音楽,あるいは僧侶信徒仏教徒として演奏する音楽の総称。地域や時代によって,民族性や歴史を反映した多くの種類のものがあるが,一般に大乗仏教が音楽性に富んでいる。現在行われているもののなかでは,声楽では日本の声明 (しょうみょう) とチベットラマ教の音楽が代表的。仏教行事に用いられる雅楽や,芸術的に洗練された日本の尺八音楽も,広義の仏教音楽に属する。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぶっきょうおんがく【仏教音楽】

仏教に関連する宗教音楽のことで,(1)各種儀礼に用いられる声明(しようみよう),雅楽など,(2)信仰を表現するものとしての,僧侶または信徒によるガーター(伽陀(かだ),(げ)),御詠歌(ごえいか)など,(3)仏僧による尺八などの器楽演奏,(4)如来菩薩諸神聖人,聖なる動物あるいは場所,さらに涅槃・空などの境地など仏教の主要事項を題材として,作曲,演奏されるもの,の四つに分類することができる。

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大辞林 第三版の解説

ぶっきょうおんがく【仏教音楽】

仏教の儀式に用いられる音楽。声明しようみよう・和讃・御詠歌ごえいかなど。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

仏教音楽
ぶっきょうおんがく

紀元前6世紀の初期仏教時代から今日に至るまで伝承・生成されてきた仏教にまつわる音楽の総称。仏教発祥の地インドに始まり、アジア各地に広まったが、ここでは各国・各宗派で行われている仏教の儀式音楽、およびその影響を受けて生まれた世俗的な音楽や芸能を扱う。[田井竜一]

インド・チベット

インド仏教において音楽がたいへん重要であったことは、サーンチーなどの仏教遺跡・壁画から推察することができる。パーリ語の教典によれば、法螺貝(ほらがい)(ばつ)、笛、鈴(れい)を伴奏に読経がなされていた。また、仏教最盛期には大規模な法会(ほうえ)も営まれ、多数の楽器を使用した音楽が奏された。しかし、現在ではヒンドゥー教に押され、仏教音楽は北インドの一部でわずかに伝承されるのみである。
 チベット仏教(ラマ教)は、チベット古来の宗教であるボン教の伝統をも受け継ぎ、独自の仏教音楽を生み出した。読経ならびに歌唱はきわめて低音のユニゾンの合唱で行われ、リーダー格の僧侶(そうりょ)がシルニャンとよばれるシンバルを奏し、ジャンドゥンとよばれる数メートルにも及ぶ銅製のトランペットが持続低音を鳴らす。またダブルリード楽器のギャリンや、以前は人骨でつくられたトランペットのカンリン、法螺貝のドゥンカル、振り鼓のダマル、大太鼓のンガ、鈴のディルブなどが使われることもある。なお年1回行われる大祭の際に、僧院前の広場で僧侶たちによって演じられる仮面劇チャムも重要である。[田井竜一]

スリランカ・東南アジア

スリランカ(セイロン島)と東南アジアの国々(ミャンマー、タイ、カンボジア)では今日、南方上座部(いわゆる小乗仏教)系の仏教音楽が伝承されている。スリランカの仏教音楽の中心地は古都キャンディで、パーリ語教典の伝統的な朗誦(ろうしょう)法が伝承されている。また同地の仏歯寺として知られるダラダ・マリガワ寺院には、独特の寺院音楽が伝承されている。東南アジアの仏教音楽に共通してみられるのはパーリ語教典の朗誦法であり、また鈴、銅鑼(どら)などが使われるのも特色である。さらに仏教音楽は諸芸能にも影響を与え、数々の舞踊劇や仮面劇を生み出す母体となった。[田井竜一]

中国

1世紀ごろ中国に伝来した仏教は、唐代には国家仏教になり、盛大な法会が行われた。こうした法会においては読経、梵唄(ぼんばい)、梵讃(ぼんさん)、漢讃などが演じられ、や鐃(どう)、鼓などの楽器も使用された。またこれらの間に(あるいは同時進行で)舞楽なども演じられた。中華人民共和国においては、仏教音楽は一時期弾圧されたが、近年になって復活のきざしをみせている。また台湾では現在も伝承されているが、道教や儒教とかなり混合しており、むしろ民間音楽に近いものになっている。[田井竜一]

朝鮮

朝鮮では三国時代に中国から仏教が伝わり、新羅(しらぎ)朝には国教となったが、儒教政策をとった李朝(りちょう)時代に弾圧された。しかし、民間における信仰は根強く続けられ、今日では信仰の自由の下に復活している。仏教音楽の代表的なものには、経文を低音で速く棒読みするヨンブル(念仏)、経文を複雑な旋律で歌うポンペエ(梵唄)、寺院で僧侶が世俗的な旋律で経文の一部を歌うハチョン(和請)などのほか、僧が舞いながら大太鼓を打つ法鼓など朝鮮独自のものも多い。また楽器としては、パラ(鑼)、ポプコ(法鼓)、チャルメラ系のテピョンソ(太平簫(しょう))、らっぱのナバルなどが使われる。さらにこれらの音楽は民間の芸能にも強い影響を与え、影絵人形劇(マンソクチュンノリ)などを生み出していった。[田井竜一]

日本

日本に伝えられた仏教音楽はそれ自体が発展していくのみならず、後世のさまざまな音楽に多大な影響を与えていった。儀式音楽においては声明(しょうみょう)がその中心で、その後、和讃、講式、論義といった日本語による声明も生まれ、さらにそれから御詠歌や念仏が派生した。これらは後代の語物(かたりもの)に大きな影響を与えた。また儀式音楽では、磬(けい)、鈴(れい)、錫杖(しゃくじょう)、鉦(かね)、法螺貝、太鼓などの鳴物(ならしもの)(楽器)も使用される。なお仏教儀式に舞楽が組み込まれることもかつてはあり、今日でも大阪四天王寺の聖霊会(しょうりょうえ)において伝承されている。また法会のあと行われた説教は説経浄瑠璃(じょうるり)などに影響を与え、余興として演じられた延年(えんねん)や呪師猿楽(じゅしさるがく)は能楽を生み出す母体になった。さらに、法会や檀家(だんか)における法事において盲僧が演奏した琵琶(びわ)音楽(盲僧琵琶)は、平曲に影響を与えた。そのほか、儀式とは直接関係しないものの仏教と深くかかわりのある音楽としては、今様(いまよう)、早歌(そうが)(宴曲)、歌祭文(うたざいもん)、歌念仏などがある。また江戸時代には禅宗の一部の宗派から普化(ふけ)尺八がおこり、その後の尺八音楽に影響を与えた。さらに近年では、浄土宗や禅宗の一部で西洋音楽を取り入れた讃仏歌(さんぶつか)なども生まれている。[田井竜一]

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世界大百科事典内の仏教音楽の言及

【宗教音楽】より

…例えばフランスのテゼーの〈兄弟団〉をめぐるエキュメニカル(教会合同)な典礼と聖歌の運動は,日本にも影響を及ぼしている。
[仏教音楽]
 たとえば東大寺の〈修二会〉に際して歌われる声明やホラガイなどの吹奏は,最も古い仏教音楽を伝えているものと考えられている。天台,真言の両声明の伝統は平安時代以来,現在までの日本声明の根幹をなしてきたばかりでなく,日本のさまざまな伝統音楽の起源ともなっている。…

※「仏教音楽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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