心証(読み)しんしょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

証拠調べの結果として得た資料を基礎として裁判官頭脳に構成される事実の。この過程を心証の形成という。ヨーロッパ中世の法は,証拠の価値を法律によって決める法定証拠主義をとったが,近代法は,一般に,裁判官の心証を法的に規制しない自由心証主義を採用している。むろん,それには裁判官による恣意的認定のおそれがあるので,証拠能力の制限や経験則などによる合理的な規制がなされている。

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世界大百科事典 第2版の解説

証拠の評価に関する裁判上の用語で,事実の存否に対する内心の判断,意識の状態をいう。〈内的確信〉を意味するフランス法のアンティーム・コンビクシヨンintime convictionの観念に由来し,日本では明治初期からこれが〈心証〉と訳されて用いられている。とくに証拠に基づき事実を認定する裁判官について用いられる場合が多い。裁判官は事件を審理する過程で,個々の証拠に接してこれらの証明力を評価し,それを集積・総合しながら,しだいに事実の存否に対する確信をつくりあげていく。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

裁判官が証拠の証明力(証拠価値)を判断して抱いた確信をいう。裁判官の証拠の評価に対し、積極的または消極的な法律上の制限を加える法定証拠主義は、実体的真実の発見にはかならずしも適合せず、現代の刑事裁判では、証拠の証明力を裁判官の自由な判断にゆだねる自由心証主義が採用されている。ただし刑事訴訟法第319条は、被告人の自白には、公判廷の自白であると否とを問わず、補強証拠を必要とするとしていて、自由心証主義に一種の制限を加えている(なお憲法38条3項参照)。

[内田一郎]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① ある人の言動が他の人の心に与える印象。〔新編教育学(1894)〕
※真理の春(1930)〈細田民樹〉たこ「女の問題くらゐ同僚の反感を買ひ、上役の心証(シンショウ)を悪くして首きりのブラック・リストにのりやすいものはないのだ」
② 訴訟事件の審理で、事実関係の存否に関する裁判官の主観的な認識または確信。
※民事訴訟法(明治二三年)(1890)二一七条「裁判所は〈略〉事実上の主張を真実なりと認む可きや否やを自由なる心証を以て判断す可し」

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