憂(漢字)

普及版 字通 「憂(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 15画

(異体字)
13画

[字音] ユウ(イウ)・ウ
[字訓] うれえる・なやむ・くるしむ・も

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
(ゆう)+夊(すい)。頁(けつ)は儀礼の際の人の姿、夊はたちもとおる形、それに心を加えた形であるから、正確にいえば、(しゆ)+夊+心である。ただ憂の初文は、〔説文十下を正字とし、「愁ふるなり。心頁に從ふ。ひの心、顏面に形(あら)はる。故に頁に從ふ」(小徐本)とするが、頁は儀礼に従うときの人の姿である。金文の字は頭に喪章の衰(さいてつ)を加える形で、象形。その中にある形は寡で、未亡人をいう。〔説文〕はまた夊部五下に憂を録し、「和の行なり。夊に從ひ、聲」とするが、和とは優字の訓である。金文の〔毛公鼎〕「先王の憂」の憂は象形。煩擾の意を示す。優・擾はみな憂に従う。

[訓義]
1. うれえる、なやむ、おもいわずらう、くるしむ、おそれる。
2. も、喪中にいる。

[古辞書の訓]
名義抄〕憂 ウレフ・ウレヘ・イタハル・ウレハシキ・ユク

[声系]
〔説文〕に憂を声とし、また憂声として優・など五字を収める。擾はもと(どう)に従う字で、は手足をはげしく動かして舞う形、煩労の意がある。

[語系]
憂・優iuは同声。優はもと喪葬のときに、その憂愁の態をなすものであった。yuも同系の語。〔説文〕十下に「は憂ふる皃なり」とみえる。身を拗転して嘆く意であろう。yuは〔詩、小雅鹿鳴〕に「(いういう)たる鹿鳴」とあって、鹿の哀切な鳴き声をいう。

[熟語]
憂哀憂恚・憂憂畏・憂鬱憂慍憂怨・憂悔・憂・憂懐憂慨憂艱・憂患・憂顔憂危・憂喜憂愧・憂危・憂紀憂悸憂咎・憂凶・憂勤憂衿・憂・憂・憂苦憂懼憂虞・憂結憂惶・憂国・憂困・憂恨・憂嗟・憂惨・憂思・憂死・憂・憂愁・憂恤・憂傷・憂擾・憂色・憂辱・憂心・憂人・憂悴・憂瘁・憂世・憂悽・憂戚・憂・憂怛・憂嘆・憂憚・憂・憂念・憂悩・憂煩・憂悲・憂閔・憂怖・憂憤・憂病・憂懣・憂悶・憂約・憂愉・憂容・憂楽・憂慄・憂慮・憂労・憂惑
[下接語]
殷憂・隠憂・鬱憂・懐憂・外憂・患憂・寛憂・歓憂・杞憂・喜憂・近憂・娯憂・後憂・困憂・憂・銷憂・深憂・盛憂・積憂・千憂・先憂・憂・多憂・大憂・沈憂・丁憂・同憂・内憂・煩憂・忘憂・無憂・幽憂・離憂

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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