現行の日本国憲法について論議する場として設置された調査会。第二次世界大戦後、二度設置されている。
憲法調査会法(昭和31年法律第140号。昭和40年法律第116号により廃止)により内閣に設置された調査会。朝鮮戦争を契機として強まった日本国憲法改正論に促されて、憲法改正問題に関する各種の意見を調査するという方針に基づいて設けられ、1957年(昭和32)から活動を開始した。
第1期は憲法の制定経過に関する調査審議、第2期は憲法運用の実際に関する調査審議、第3期は憲法改正の要否に関する審議を行い、その間、欧米諸国の学者の意見を調査し、全国にわたって公聴会を実施した。審議の運営は、総会を主体に、実際の調査活動は4委員会を中心に行われ、1961年に各委員会は報告を終了した。そのあと、四つの部会に再編してその後の問題点を審議し、その結果は中間報告書として総会の承認を得た。最終報告書の作成には1年を要し、最終的には、全体が5編、本文1200ページ、付属文書12冊、計4300ページに上る報告書が完成、1964年7月に内閣と国会に提出して、調査会はその任務を終了し、翌1965年に廃止された。
[池田政章]
1999年(平成11)7月の国会法改正により、2000年(平成12)1月の通常国会から衆参両議院に設置された調査会。衆参両議院ともに予算委員会と同様の規模とされ、衆議院50人、参議院45人の委員で組織され、委員は、会派の所属議員数の比率により割り当てて選任された。調査会は、日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行うものとされ、調査期間は5年をめどとされていた。衆参両院の憲法調査会は2005年4月にそれまでの調査の経過および結果を報告書としてまとめ、議長に提出している。この調査会は議案提出権をもたないことが議院運営委員会理事会の申合せで決められ、調査会が憲法改正などの議案を提案することはできないこととされていた。2007年8月、国会法改正により衆参両議院に憲法審査会が設置されたことに伴い廃止された。
[浅野一郎・浅野善治]
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1956年(昭和31)第3次鳩山内閣が設置した日本国憲法再検討のための審議機関。現行憲法の自主的改正を掲げる自由民主党の主導で,1956年5月憲法調査会法が成立し,同法にもとづき翌年7月自民党・緑風会所属の国会議員20人および学識経験者19人を委員として発足。同会ははじめ超党派で組織される予定であったが,改憲阻止を掲げる社会党が終始一貫して参加を拒否したため,憲法改正問題をめぐる保守・革新両勢力の対立が深まった。同会は,その後足掛け8年にわたり計131回の総会を開き,公聴会や海外調査を実施した。64年7月に改憲論31と改正不要論7の両論を併記した憲法調査会報告書を池田内閣および国会に提出,解散した。
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…日本国憲法9条はその1項で〈日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する〉と定めている。これにつづいて同条2項は,〈前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない〉と定めている。これら二つの項から成る9条は,憲法前文の恒久平和主義を具体化するものと考えられ,とりわけ前文の定める〈平和のうちに生存する権利〉(平和的生存権)を保障するための制度という意義をもっているといえよう。…
… 明文改憲への動きも根強い。自民党は1955年に自由党と民主党(その中心は改進党)の合同によって成立したが,自由党と改進党は,その前年にそれぞれの憲法調査会の名で,〈日本国憲法改正案要綱〉と〈憲法改正の問題点〉を発表していた。両者は,ともに,(1)天皇を国の元首とし,その権限を強化する,(2)9条の戦争の放棄と戦力の不保持を改める,(3)基本的人権の制限と国民の義務を強化する,の3点を明文改憲の要点としていた。…
※「憲法調査会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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