手合(読み)テアイ

デジタル大辞泉 「手合」の意味・読み・例文・類語

て‐あい〔‐あひ〕【手合(い)】

連中。やつら。やや軽蔑していう。「ああいう手合いとは付き合いたくない」
たぐい。種類。「この手合いの品は売れない」
勝負をすること。特に、囲碁将棋で、対局すること。てあわせ。→大手合い
適当な相手
新町に―をこしらへ」〈浮・一代男・五〉
[類語](1彼等・彼女等・奴等連中/(3対局手合わせ戦い対戦決戦対決競争戦う競合角逐かくちくり合い

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「手合」の意味・読み・例文・類語

て‐あい‥あひ【手合】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「てやい」とも )
  2. 勝負をすること。手合わせ。
    1. [初出の実例]「彌七は、力おとりなれども、てあひはましてぞ見えにける」(出典:曾我物語(南北朝頃)一)
    2. 「行司の団(うちわ)引より早く、やっと声かけ手あひして」(出典浄瑠璃井筒業平河内通(1720)五)
  3. 囲碁・将棋で、対局すること。
    1. [初出の実例]「中なをりする事のうれしさ みつの棊もいまはふたつの手あひにて〈いさく〉」(出典:俳諧・新続犬筑波集(1660)九)
  4. 競技や勝負事などで、技(わざ)。力。うでまえ。
    1. [初出の実例]「てあひがみたひほどに、一番とらう」(出典:天理本狂言・鼻取相撲(室町末‐近世初))
  5. いっしょに物事をする相手。てごろな相手。仲間。
    1. [初出の実例]「此所にても口きく程の若き人、新町に手あひを拵へ」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)五)
  6. そのような人。そのようなやつ。また、者ども。やつら。多くは、軽い軽蔑の意をこめていう語。
    1. [初出の実例]「今来た手合(アヒ)は女でも少々宛用(もち)いがある」(出典:談義本・八景聞取法問(1754)一)
  7. 売り買いなどの約束をすること。
    1. [初出の実例]「宿の不首尾を気づかひ、床より飛出、かねて手あひのはや駕籠」(出典:浮世草子・好色盛衰記(1688)四)
  8. 種類。たぐい。
    1. [初出の実例]「賃銭は、上車の後に車を管するもの来り、切手の手合にて収む」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一)
  9. 取引市場で、相場見込があたること。また、相場の見込。おもわく。
    1. [初出の実例]「手合(てアイ)のうはさ、思ひ入れを互に言ひ合ひ」(出典:洒落本・秘事真告(1757頃)曾根崎新地の相)

て‐あわせ‥あはせ【手合】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 相手となって勝負をすること。また、その勝負。相撲などの競技や勝負事、または合戦などの勝負を決すること。
    1. [初出の実例]「此日臨時相撲〈略〉手合一両度之後、文時申障被免」(出典:権記‐長保二年(1000)八月一二日)
    2. 「折檻つのって果は手(テアハセ)の刃物ざんまい」(出典:洒落本・禁現大福帳(1755)二)
  3. はじめて勝負を争うこと。また、その勝負。
    1. [初出の実例]「平家の一族追討のために上洛せしむる手あはせに、木曾義仲を誅戮の後」(出典:平家物語(13C前)一一)
  4. 剃刀(かみそり)の刃などをみがくために、てのひらにこすりあわせること。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「櫛笥のまゆだれてあはせし、いとも静かに梳きおろす」(出典:歌謡・松の葉(1703)四・元服曾我)
  5. 薬などを自分の手で調合すること。
    1. [初出の実例]「しやうれん院殿より、御たき物御てうかうのこと申されて、くろほう、侍従、御てあはせにてまいらせらるる」(出典:御湯殿上日記‐大永七年(1527)三月一〇日)
  6. 売買の契約をすること。手を打つこと。
    1. [初出の実例]「唐土の夷国に随はんとの一味、契約の手合せに」(出典:浄瑠璃・天神記(1714)二)

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