拙者(読み)セッシャ

デジタル大辞泉 「拙者」の意味・読み・例文・類語

せっ‐しゃ【拙者】

[代]一人称人代名詞武士が多く用い、本来自分をへりくだっていう語であるが、尊大な態度で用いることもある。
「―は他言致すまいが」〈浄・堀川波鼓
[類語]小生不肖愚生小弟手前自分わたくし・わたしおれわし我がはいあたくしあたしあたいあっしわらわあちき俺等おいらおら当方此方こちらこっちこちとら吾人ごじんてめえ愚輩身共それがし迂生うせい

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精選版 日本国語大辞典 「拙者」の意味・読み・例文・類語

せっ‐しゃ【拙者】

  1. 〘 代名詞詞 〙 自称。自分をけんそんしていう語。目上に対して多く武士が用いた。拙身。
    1. [初出の実例]「拙者八月廿六日、垂凉出遊」(出典:蕉堅藁(1403)和前韻答崇大岳)
    2. 「『拙者(セッシャ)は人持(もち)ませぬ』といふ者なし」(出典:浮世草子・好色一代女(1686)二)

拙者の語誌

( 1 )「明応本節用集」に「拙者(セッシャ) 自卑下辞」とあるように謙譲の一人称代名詞として、主に武士によって使用された。
( 2 )近世前期上方語でも、使用者はほぼ武士に限られ、目上に対して用いる、高い待遇価値を有した語であったと考えられるが、近世後期江戸語では、目下に対して用いた例も見られるところから、待遇価値は近世前期に比べて低くなっていると考えられる。

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