精選版 日本国語大辞典「僕」の解説
やつがれ【僕】
(古くは「やつかれ」。「やつこ(奴)あれ(吾)」の変化したものという)
[1] 〘代名〙 自称。自分をへりくだっていう。上代、中古では、男女を通じて、へりくだる場面で用いられた。近世以降になると、もっぱらある程度の身分ある男性の、やや改まった場での文語的な用法という感じで使われ、近世後期には気どったり茶化したりする用法にもなった。これは明治初期まで引き継がれ、その後は、書生ことばなどで、ややおどけた口調の際などに用いられている。やつかり。
※書紀(720)皇極元年正月(岩崎本平安中期訓)「臣(ヤツカレ)予使に随ひて共に筑紫に到(まういたれ)り」
[2] 〘名〙 下働きの男。下男。下僕。しもべ。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
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