僕(読み)ボク

デジタル大辞泉 「僕」の意味・読み・例文・類語

ぼく【僕】

[名]男の召使い。下男。
[代]
1 一人称の人代名詞。男性が自分のことをさしていう語。対等またはそれ以下の人に対して用いる。「僕んちにおいでよ」「君のほうが僕より若い」
2 小さい男の子に対して呼びかける語。「僕のお名前は」
[補説]1は、現代では親しみのあるくだけた言い方として使われ、改まったときは「わたくし」を用いる。古くは「やつがれ」と読み、相手に対してへりくだる気持ちで用いられた。明治時代から、書生・学生が「ぼく」と読んで用いるようになった。
[類語]下働き・下男・下女・召し使い・奴隷・奴婢どひ・男衆・下僕・忠僕・老僕・爺や・飯炊き・権助・風呂焚き・三助・女子衆・下婢・端女はしため・小間使い/おれ・わし・おいら・おら・あっし・こちとら・自分・私わたくし・わたし・余よ・我が輩はい・手前・小生・愚生・あたくし・あたし・あたい・妾わらわ・あちき・内・当方・此方こちら・こっち・吾人ごじん・てめえ・我・愚・愚輩・拙者・身共・それがし・某・不肖ふしょう・迂生うせい

やつがれ【▽僕】

[代]《「やつこ(奴)あれ(吾)」の音変化という。古くは「やつかれ」》一人称の人代名詞。自分をへりくだっていう語。上代・中古では男女を通じて用いたが、近世以降は、男性がやや改まった場で用いるのに限られた。
「―御身の云う如く、如何にも御身が奴僕ぬぼくとなり」〈井上勤訳・狐の裁判〉
「―弔使に随ひて、共に筑紫に到まういたる」〈皇極紀〉
[類語]わたし・わたくし・自分・僕・俺おれ・わし・吾人ごじん・余よ・我が輩はい・手前・不肖ふしょう・小生・愚生・迂生うせい

ぼく【僕】[漢字項目]

[常用漢字] [音]ボク(呉) [訓]しもべ
男の召使い。下男。しもべ。「僕婢ぼくひ/家僕・下僕・公僕・従僕・臣僕・忠僕・奴僕どぼく・ぬぼく・童僕・老僕」

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精選版 日本国語大辞典 「僕」の意味・読み・例文・類語

ぼく【僕】

  1. [ 1 ] 男のめしつかい。下男。しもべ。〔譬喩尽(1786)〕 〔詩経‐周南・巻耳〕
  2. [ 2 ] 〘 代名詞詞 〙 男子の自称。
    1. [初出の実例]「僕(ボク)儀は何によらず、祝儀の席をはづさず、仁義礼智のはしくれも覚へしとて、儒者の数に加へらるれば」(出典:談義本・根無草(1763‐69)前)
    2. [その他の文献]〔司馬相如‐子虚賦〕

僕の語誌

( [ 二 ]について ) 漢文の中では、古代から男子の、非常にへり下った表現として見られるが、訓読されるのが一般的であった。奈良時代の訓は不明だが、平安時代以後は「やつがれ」がふつう。江戸時代の漢文から「ぼく」の形で、対等もしくは目下の者に対する自称の代名詞として青年・書生などが使った。以後多用されるようになり、現代では特に少年男子の自称として広く用いられる。


やつがれ【僕】

  1. ( 古くは「やつかれ」。「やつこ(奴)あれ(吾)」の変化したものという )
  2. [ 1 ] 〘 代名詞詞 〙 自称。自分をへりくだっていう。上代、中古では、男女を通じて、へりくだる場面で用いられた。近世以降になると、もっぱらある程度の身分ある男性の、やや改まった場での文語的な用法という感じで使われ、近世後期には気どったり茶化したりする用法にもなった。これは明治初期まで引き継がれ、その後は、書生ことばなどで、ややおどけた口調の際などに用いられている。やつかり。
    1. [初出の実例]「臣(ヤツカレ)予使に随ひて共に筑紫に到(まういたれ)り」(出典:日本書紀(720)皇極元年正月(岩崎本平安中期訓))
  3. [ 2 ] 〘 名詞 〙 下働きの男。下男。下僕。しもべ。〔二十巻本和名抄(934頃)〕

やつかり【僕】

  1. 〘 代名詞詞 〙 =やつがれ(僕)[ 一 ]
    1. [初出の実例]「僕(ヤツカリ)天皇の宮を守りて」(出典:日本書紀(720)皇極二年一一月(岩崎本訓))

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普及版 字通 「僕」の読み・字形・画数・意味

僕
常用漢字 14画

[字音] ボク
[字訓] ぎょしゃ・しもべ・やつがれ

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は(ほく)。〔説文〕三上に「給事するなり。人に從ふ。は亦聲なり」と会意に解し、古文を録する。〔説文〕はを(とくほく)にして卑賤の意とし、そのことに従う者と解するのであろう。僕の初形は卜文では礼冠を頂き、儀礼に従う者の形に作り、その奉ずる器は辛の形に似ており、宰牲のことに当たるものかと思われる。古文は臣に従い、臣は神に事(つか)えるものであった。西周中期の金文〔(がいき)〕に「僕射(ぼくや)・士訊(しじん)・小大の右」のように官職名を列し、後期の〔師(しきき)〕に「僕(ぼくぎよ)・百工・牧・臣妾」とあり、僕は必ずしも下僕の意ではない。のち卑賤の称となり、司馬遷が任安に与えた書中には自称として用いている。

[訓義]
1. つかえるもの、神につかえるもの、つかさどる。
2. ぎょしゃ、僕御。
3. ともがら、なかま。
4. しもべ、めしつかい。
5. やつがれ、わたくし、自己の謙称。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕僕 ヤツガレ・ヤツコ・ワレ・ツカフ・ツク・ユルナリ・ツブネ・マツ・マメス 〔字鏡集〕僕 ツカフ・ツブネ・ヤツコ・マメヒ・マメス・ツカヒ・ヤツガレ・ツク・ワレ・タケシ・ムカフ・ユリナリ・ツカヒビト

[声系]
〔説文〕に僕声として濮など三字を収める。僕と声義の関係は認められない。

[熟語]
僕役▶・僕縁▶・僕牛▶・僕御▶・僕圉▶・僕区▶・僕使▶・僕廝▶・僕豎▶・僕従▶・僕妾▶・僕乗▶・僕臣▶・僕▶・僕賃▶・僕程▶・僕奴▶・僕党▶・僕▶・僕輩▶・僕婢▶・僕夫▶・僕僕▶・僕輿▶・僕▶・僕虜▶・僕旅▶・僕隷▶
[下接語]
家僕・頑僕・御僕・群僕・下僕・健僕・公僕・更僕・車僕・臣僕・僕・走僕・臧僕・村僕・太僕・台僕・忠僕・奴僕・童僕・馬僕・婢僕・輿僕・傭僕・僕・隷僕・老僕

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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