不肖(読み)フショウ

デジタル大辞泉 「不肖」の意味・読み・例文・類語

ふ‐しょう〔‐セウ〕【不肖】

[名・形動]《「肖」は似る意》
取るに足りないこと。未熟で劣ること。また、そのさま。不才。「不肖ながら誠心誠意努力いたします」「不肖の身」
父に、あるいは師に似ないで愚かなこと。また、そのさま。「不肖な(の)弟子」「不肖の子」
不運・不幸であること。また、そのさま。
「身の難に逢ひ―なる時は」〈太平記・二七〉
[代]一人称人代名詞自分をへりくだっていう語。「不肖儀、この度社命により」
[類語](1つたないふつつか野育ち至らぬ半人前青臭い未熟不慣れ不調法不行き届き不十分不完全不備不徹底不敏浅はか浅薄浅慮浅才無考え愚か愚かしい足りない不見識無定見生半可/(小生愚生小弟手前拙者自分わたくし・わたしおれわし我がはいあたくしあたしあたいあっしわらわあちき俺等おいらおら当方此方こちらこっちこちとら吾人ごじんてめえ愚輩身共それがし迂生うせい

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精選版 日本国語大辞典 「不肖」の意味・読み・例文・類語

ふ‐しょう ‥セウ【不肖】

[1] 〘名〙 (形動) (「肖」は似る意。天に似ない、賢人に似ない、あるいは父に似ないの意という)
① 愚かであること。また、そのさまやその人。諸事について、劣ること、至らないこと、未熟なことなどをいう。
※中右記‐大治四年(1129)一一月一二日「以不肖質氏長者之間、始此之事出来歟」
※保元(1220頃か)上「身不肖に候へども、形のごとく系図なきにしも候はず」 〔孟子‐公孫丑・下〕
② 特に子について、父の名をけがすような愚か者の意で用いる。
※性霊集‐八(1079)和尚奉為祈皇帝転読大般若経願文「堯子不肖、釈児狂狼」 〔史記‐五帝本紀〕
③ 不運・不幸であること。また、そのさま。
※太平記(14C後)二七「身の難に逢ひ不肖(セウ)なる時は」
④ 快くないこと。また、そのさま。
※浮世草子・傾城歌三味線(1732)一「不肖な顔せずに客にせしが」
[2] 〘代名〙 自称。わたくし。自分をへりくだっていうのに用いる。〔日誌必用御布令字引(1868)〕
[補注]「文明本節用集」では、「不肖」に「ニタリ」の訓と「屑同。肖ハ似也」の注記がある。「色葉字類抄」でも、「不肖 フセウ ホエス」とは別に「不屑(モノノカスナラス) 同 フセウ」ともある。「屑」の字音は「セツ」であり、本来「肖」とは別字である。あるいは、「いさぎよしとせず」と訓ずる「不屑」との意味上の近似から混同したものか。

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普及版 字通 「不肖」の読み・字形・画数・意味

【不肖】ふしよう(せう)

父に似ぬ。不才の者。また、拙者。宋・司馬光〔劉に答ふる書〕方今豪の士、は則ちに充(み)ち、外は則ち郡縣に布く。~足下之れを取ること無くして、乃ち獨り左して不に抵(いた)る。豈に待せらるるの厚きに非ずや。

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