此方人等(読み)コチトラ

デジタル大辞泉 「此方人等」の意味・読み・例文・類語

こちと‐ら【×等】

[代]代名詞「こちと」に複数を示す「ら」のついたもの、単数にも用いる》一人称人代名詞。おれたち。おれ。「此方人等の知ったことじゃない」
「―はどうで着たきり雀ときてゐるから」〈滑・浮世風呂・三〉
[補説]現代では俗語的に用いる。
[類語]おれわしおいらおらあっしわたくしわたしあたくしあたしあたいわらわあちき自分当方此方こちらこっち吾人ごじん我がはい手前てめえ・愚輩・拙者身共それがし不肖ふしょう小生愚生迂生うせい

こっち‐とら【×等】

[代]一人称の人代名詞。複数にも単数にも用いる。われわれ。われ。こちとら。
「大事にしてもらわれれば、―も奥山へ行くけえど」〈鴎外ヰタ‐セクスアリス

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「此方人等」の意味・読み・例文・類語

こちと‐ら【此方人等】

〘代名〙 自称。「こちと」に複数を示す接尾語「ら」の付いたもの。男女ともに、対等またはやや上位相手との話に用いる。
(イ) 複数に用いる。われわれ。
浄瑠璃・頼朝伊豆日記(1693頃)二「こちとらが肩持って命救ふて参らせんと、山朸(おうこ)てんでに持(もち)
(ロ) 単数に用いる。わたくし。自分。
※浄瑠璃・忠臣金短冊(1732)四「其時はこちとらが、ながへに掛てたたき廻してやるはいやい」

こっと‐ら【此方人等】

〘代名〙 「こちとら(此方人等)」の変化した語。
※浄瑠璃・蘭奢待新田系図(1765)一「其処にも幕打廻し、花と紅葉酒肴(さかな)で、此方(コットラ)もやりかけたら一入花(ひとしほばや)も面白からうと」

こっちと‐ら【此方人等】

〘代名〙 「こちとら(此方人等)」の変化した語。
※滑稽本・人心覗機関後編(1848)上「こっちとらなら、鰻の切手一分も貰やぁ、黄鰭(きはだ)刺身の二百もはづんで」

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