(読み)ウチ

デジタル大辞泉 「内」の意味・読み・例文・類語

うち【内】

[名]
(「中」とも書く)ある一定の区域・範囲の中。
㋐仕切られた内側内部。「家の」⇔そと
㋑中心または手前に寄ったほう。「に切れ込むシュート
㋒ある範囲に含まれるもの。「会員のから探す」「これも仕事の」「苦しいにも張り合いがあった」
㋓外から見えないところ。うら。「を探ると、問題があるらしい」
㋔心の中。心。内心。「腹のを探る」「に秘めた思い」
㋕ある数量のなか。「三つのから一つを選ぶ」
㋖ある時間のなか。以内。あいだ。「一瞬に消えた」「試合が二日のに迫る」「若いに苦労する」
自分が所属しているものをいう。
㋐(「家」とも書く)自分が一員として属する家。また、他人の家も含めて、一般に家庭・家族をいう。「が貧乏で苦労した」「じゅうで出かける」「よその
㋑(「家」とも書く)自分の夫、また、妻。「に相談してからにします」
㋒自分が所属するところ。「の会社」⇔よそ
手紙署名で、妻が夫の名に添えて「内」と書き、代筆であることを示す。
(「家」とも書く)建物としての家。家屋。「いいに住んでいる」
(「裡」とも書く。「…のうちに」の形で)物事の行われる状況を表す。「暗黙のに理解しあう」「会は成功のに終わる」
仏教に関すること。仏教以外、特に儒教を「そと・ほか」というのに対していう。
ひと続きの時間。特に、現世という限られた時間。
たまきはる―の限りは平らけく安くもあらむを」〈・八九七〉
内面。内輪。うちとけた面。
ほかには仁義礼智信の五常を守りつつ、―にはまた、花鳥風月、詩歌管絃を専らとし」〈謡・経政
宮中。内裏だいり
「君はまづ―に参り給ひて」〈・若紫〉
天皇。
「―の渡らせ給ふを、見奉らせ給ふらむ御心地」〈・一二八〉
[代]一人称の人代名詞。わたし。わたくし。自分。関西地方で、多く女性が用いる。「は嫌やわ」
アクセント17はウチ。
[用法]うち・なか――ある仕切りで区切られた空間・平面などを表す場合は、「外は寒かったが、部屋の内(中)には暖かく火が燃えていた」のように、「内」も「中」も同じように使うが、「内」のほうがやや文語的な言い方である。◇ある状態にあることを示す「雨の中を歩く」「忙しい中を無理に頼む」などは「内」に置き換えられない。また「中の指」のように順序の中間を示すときも「内」とはいわない。◇「大勢の応募者の内(中)から選ばれた人」のように「内」「中」は、また、ある範囲を示すこともある。この場合、ある時間の範囲内であることを示す「朝、まだ暗い内に出発した」や、事柄がある範囲に含まれることを示す「苦労するのも勉強の内だ」などでは、「内」を「中」で置き換えることはできない。
[下接句]足元の明るいうち蝙蝠こうもりも鳥の内舌の根の乾かぬうち自慢高慢馬鹿ばかの内腹も身の内卑下も自慢の内目の黒いうち目高もととの内夜目よめ遠目とおめかさの内
[類語]1内面内部内側内方内奥/(2家庭いえホームマイホーム所帯世帯一家家内我が家スイートホームファミリー家族お宅おうちお家貴家/(3いえ家屋ハウスわたくしわたしあたくしあたしあたいあっしわらわあちき自分おれ俺等おいらおらわし当方此方こちらこっちこちとら吾人ごじん我がはい手前てめえ・愚輩・拙者身共それがし不肖ふしょう小生愚生迂生うせい

ない【内】[漢字項目]

[音]ナイ(呉) ダイ(漢) [訓]うち
学習漢字]2年
〈ナイ〉
ある範囲のうちがわ。「内外内臓内部内面内容案内以内屋内管内圏内構内国内車内体内町内
仲間うち。組織や国の中。「内訌ないこう内政内戦内紛内乱
家庭。妻。「内室内助家内
宮中。朝廷。「内供ないぐ内帑ないど
表立たないさま。うちうち。「内示内情内定内偵内密
中に入れる。「内服内用
〈ダイ〉
うちがわ。「宇内海内境内
宮中。「内裏参内入内じゅだい
〈うち〉「内側内金うちきん内幕幕内身内
[名のり]ただ・ちか・のぶ・はる・まさ・みつ
[難読]内耗うちべり河内かわち内障そこひ内匠たくみ

だい【内】[漢字項目]

ない

ない【内】

うち。なか。内部。「ディスクの情報」

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精選版 日本国語大辞典 「内」の意味・読み・例文・類語

うち【内】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 空間的、平面的に、ある範囲や区画、限界などの中、すなわち、外側でないほうをいう語。⇔そと
      1. [初出の実例]「おもしろき 今城(いまき)の禹知(ウチ)は 忘らゆましじ」(出典:日本書紀(720)斉明四年一〇月・歌謡)
      2. 「外には三国の難あり、内には姦臣あつまれり」(出典:保元物語(1220頃か)下)
    2. 囲みおおわれた内部。奥まったところ。外から見えない部分。
      1. (イ) 表面、外部でないほうを広くいう語。
        1. [初出の実例]「是に出でむ所を知らざる間に鼠来て云ひけらく、内(うち)は富良富良(ほらほら)」(出典:古事記(712)上)
      2. (ロ) 御簾(みす)、局(つぼね)などの内部。
        1. [初出の実例]「うちよりかはらけ出ださせ給ふとて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開下)
      3. (ハ) 家、屋敷の内部。
        1. [初出の実例]「ひとつうちなれど、ふみに書きつづけていひつかはしたるを」(出典:隆信集(1204頃)詞書)
    3. 一定時間の間。
      1. (イ) 一続きの時間。また、それに含まれるある時。
        1. [初出の実例]「春の裏(うち)の楽しき終(をへ)は梅の花手折りをきつつ遊ぶにあるべし」(出典:万葉集(8C後)一九・四一七四)
        2. 「やどりして春の山辺にねたる夜は夢の内にも花ぞちりける〈紀貫之〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春下・一一七)
      2. (ロ) ( 「現(うつ)」に同じかという ) 現世という(限られた)時間。生きている間。現世。
        1. [初出の実例]「たまきはる 内(うち)の限りは 平けく 安くもあらむを」(出典:万葉集(8C後)五・八九七)
      3. (ハ) ( 多く用言の連体形を受け、「に」を伴って形式名詞のように用いる ) ある状態、動作が継続している間に別のことが起こるのをいうのに用いる。
        1. [初出の実例]「くやしがるうちに、よるになりて」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月七日)
    4. 程度、分量などで、ある限度を越えていないこと。以下。以内。
      1. [初出の実例]「年廿歳よりうちの人十人」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上上)
      2. 「高さは七尺がうちなり」(出典:方丈記(1212))
    5. 複数のものの中。ある種類に属する人。また、ものごと。
      1. [初出の実例]「己れをばそのうちに入れられぬ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)
    6. 人の精神、心理、気持。心の中。胸のうち。
      1. [初出の実例]「いきどほる 心の宇知(ウチ)を 思ひ延べ うれしびながら」(出典:万葉集(8C後)一九・四一五四)
      2. 「宿善内にもよほし善縁外にあらはれて」(出典:保元物語(1220頃か)上)
    7. 朝廷に関する人やものごとを直接に言うことをはばかって間接的に示す語。
      1. (イ) 宮中。禁中。内裏。おおうち。
        1. [初出の実例]「其被勑推。雖官当除免。徒以上。不内」(出典:令義解(718)獄)
      2. (ロ) 天皇。みかど。
        1. [初出の実例]「左はうちの御歌なりけり」(出典:延喜十三年亭子院歌合(913))
    8. 仏者の立場で、自分たちの側に関することをいう語。仏教以外、特に儒教を「外(そと・ほか)」とするのに対する。
      1. [初出の実例]「内には五戒をたもって慈悲を先とし、外には五常をみださず」(出典:平家物語(13C前)二)
    9. 表立たない、個人的なものごとをいう語。私的な事柄。身のまわり。
      1. [初出の実例]「されば三夫人〈略〉八十一女御ありて、内、君を助け奉る」(出典:保元物語(1220頃か)下)
    10. ( 家 ) ( (ハ) から転じて ) 家、家の建物、家庭。
      1. (イ) 自分の家、家庭。わが家。
        1. [初出の実例]「うちでもえぼしかみしもきづめにして」(出典:玉塵抄(1563)二五)
        2. 「失礼ですが、私は、宅(ウチ)へ何とも申置ませんでしたから」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉八)
      2. (ロ) 一般の家、家庭。商店などについてもいう。
        1. [初出の実例]「新室を 踏み静む子し 手玉鳴らすも 玉のごと 照りたる君を 内(うち)にと申せ」(出典:万葉集(8C後)一一・二三五二)
        2. 「ここのうちの肉もずいぶんいいけれども」(出典:安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二)
      3. (ハ) ( (イ)から ) 比喩的に、自分の属する所。「うちの社長」「うちのチーム」
        1. [初出の実例]「内(ウチ)の親方と一緒に」(出典:花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉上)
      4. (ニ) 外出しないで家にいること。
        1. [初出の実例]「馬鹿、貴様が内だと云ったらう。今急用があって外へ出たと云ふがいい」(出典:花間鶯(1887‐88)〈末広鉄腸〉下)
    11. 同じ家の中に住む配偶者。
      1. (イ) 妻。内儀。家内。他人の妻をいう場合は「おうちさま」「おうちさん」などの形で用いる。また、書状などで、夫の名の下に記し、妻自身が用いることも多い。
        1. [初出の実例]「みなもとのかつ頼うち」(出典:武田勝頼夫人願文署名‐天正一〇年(1584)二月一九日)
        2. 「お袋さまやお内さまか」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四)
      2. (ロ) 自分の夫。うちの人。うちの。
        1. [初出の実例]「内(ウチ)に大きにしかられました」(出典:洒落本・狐竇這入(1802)二)
    12. ( 多く「に」を伴って形式名詞として用いる。…という条件の範囲内にあるの意から )
      1. (イ) その中でも特に。そればかりか。その上に。
        1. [初出の実例]「さやうの事かけてもおぼしたたぬうちに、いみじく色好みと聞き奉りし物を」(出典:落窪物語(10C後)一)
      2. (ロ) とはいうものの。にもかかわらず。
        1. [初出の実例]「下より消ゆること、雪のごとくなるうちに」(出典:徒然草(1331頃)一六六)
    13. ( 「裏」「裡」を訓読したものか。多く「の」を受けて用いられる ) 物事の経過する間の状況、環境などを示すのに用いる。終始そのようなさまであるあいだ。「暗黙のうちに」
      1. [初出の実例]「事態を平和の裡に回復せしめむとし」(出典:米国及び英国に対する宣戦の詔書‐昭和一六年(1941)一二月八日)
    14. (くるわ)の中。なか。
      1. [初出の実例]「きつう酔(ゑ)ふてござんす故〈略〉うちからお駕籠(かご)にめさせます」(出典:浄瑠璃淀鯉出世滝徳(1709頃)上)
  2. [ 2 ] 〘 代名詞詞 〙 自称。関西を中心とする方言。主として婦女子が用いる。
    1. [初出の実例]「神酒は屹度(きっと)うちが飲まして上げらあな」(出典:牛部屋の臭ひ(1916)〈正宗白鳥〉一)

内の語誌

( 1 )「うち」は[ 一 ]のように「閉鎖的な内部」の意を上代からもつため、本来他に対して開くことをしない「心」や、内的現象として考えられる「夢」などと結びついてよく用いられた。
( 2 )「うち」は閉鎖的な意をもつ「隠る」「籠る」「籠む」「埋もる」などの動詞と共存しやすく、逆に「明示的な中心部」の意をもつ「なか」はそれらと共存しにくい。


ない【内】

  1. 〘 名詞 〙
  2. うち。なか。内部。内側。奥。⇔外(がい)
    1. [初出の実例]「光の波長が一粍の二千分の一乃至三千分の一位の範囲内にあるのでなければ」(出典:物理学と感覚(1917)〈寺田寅彦〉)
  3. 仏語。
    1. (イ) 仏教以外の教えに対して仏教の教え、あるいは仏教内の自己の立場をさす。また、世間に対する出世間。⇔外(げ)
      1. [初出の実例]「外を学ぶる者は、仏法を誹り、内を読む者は外典を転みす」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
      2. [その他の文献]〔南本涅槃経‐一五〕
    2. (ロ) 六根、または六識などの識(心)をさす。
      1. [初出の実例]「問拠心内境唯境耶。答。其境之体通於内外。外無内有。識唯在内」(出典:大乗法相研神章(822頃)二)
  4. 身体の内部。内臓。
    1. [初出の実例]「内(ナイ)が悪ひ、内(ナイ)に熱が有など、内(ナイ)と唱ふ。医書外邪等対語也」(出典:譬喩尽(1786)三)
  5. ないじん(内陣)」の略。
    1. [初出の実例]「太刀は多聞のつるぎ、刀は八幡と心ざし、ないの柱に立てをかせ」(出典:幸若・烏帽子折(室町末‐近世初))

うつ【内】

  1. 〘 造語要素 〙 名詞の上に付いて、内側、内部の意を添える。「うつあし」「うつもも」「うつほ」など。

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普及版 字通 「内」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

(旧字)
4画

[字音] ナイ・ダイ
[字訓] うち・いれる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
家屋の入口の形。〔説文〕五下に「入るなり」とし、冂(けい)と入との会意で「外よりして入るなり」とするが、金文の字形は屋形に従い、その入口の形である。金文の冊命(さくめい)廷礼をしるす文に「門に入りて中に立つ」を「門にる」に作るものがあり、入と内とは通用の字。内は名詞的に用いる語であった。

[訓義]
1. うち、なか、あいだ。
2. いる、いれる、おさめる。
3. いえ、みうち、こころ。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕 ウチ・シリヘ・ソコ・イル

[声系]
〔説文〕に声として(納)・訥・など十字を収める。(のう)・訥(とつ)と(ぜい)と両系の音がある。また(とつ)は、ではなく台座の形で、(商)・(いつ)などの字はその形に従い、別系の字である。

[語系]
nut、npは声義近く、は入njipとともに動詞的な語である。人には入といい、物にはという。

[熟語]
内裏・内悪・内意・内因・内・内苑・内宴・内園・内燕・内応・内奥・内屋・内家・内踝・内衙・内外・内閣・内学・内間・内監・内・内観・内艱・内鑒・内含・内規・内逆・内疚・内宮・内挙・内御・内教・内・内君・内訓・内軍・内兄・内・内鬩・内隙・内闕・内・内顧・内庫・内攻・内訌・内行・内幸・内寇・内国・内骨・内査・内差・内祭・内参・内旨・内視・内子・内志・内祀・内眥・内次・内事・内侍・内室・内実・内主・内首・内豎・内助・内恕・内称・内訟・内仗・内情・内職・内心・内寝・内人・内省・内制・内政・内誠・内接・内戦・内則・内息・内属・内第・内宅・内地・内治・内廚・内・内庁・内朝・内直・内廷・内定・内庭・内典・内殿・内帑・内難・内熱・内班・内畔・内美・内府・内附・内傅・内侮・内嬖・内変・内墨・内密・内務・内命・内面・内門・内憂・内容・内欲・内乱
[下接語]
幄内・案内・以内・域内・宇内・家内・臥内・衙内・界内・海内・閣内・管内・関内・期内・畿内・宮内・虚内・境内・疆内・圏内・好内・国内・参内・入内・充内・城内・正内・体内・胎内・大内・治内・庭内・第内・都内・部内・封内・房内・門内・養内・欄内

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

日本歴史地名大系 「内」の解説


よもぎない

[現在地名]亀田郡戸井町字瀬田来町

天保郷帳にみえる地名で、小安おやす村の持場の一つ。蓬内川の下流域、現瀬田来せたらい神社の近傍にあたる。享保十二年所附に「しつか哥 与茂木内 河尻」とみえる。天明元年(一七八一)の「松前志」に「ヨモキナイ」、「ひろめかり」には「よもぎない」と記される。「蝦夷巡覧筆記」によると「ヨモキナヱ」は「此辺岩ヒラ切立也、当処大ゴロタ浜」であった。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【戈】より

…長い柄の先端に,柄と直角に短剣状のものをとりつけたもので,敵の首や頭にうちこんで,手前に引き倒したり,斬りつけたりするものである。やや湾曲した両刃の短剣の部分を援(えん),その下についた長くのびた部分を胡(こ)といい,内(ない)と呼ばれる部分を柄に通して戈を安定させる。柄は古名で柲(ひつ)といわれ,木や竹を合わせたものがある。…

※「内」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」