精選版 日本国語大辞典「某」の解説
ぼう【某】
[1] 〘名〙 人の名前や、地名、場所、時などについて、それとはっきりわからない場合、あるいは、それとはっきり示さず表現する場合に用いる。他の名詞とともに使われることも多い。「学生某」「田中某」「某教師」「某会社」など。
※恋慕ながし(1898)〈小栗風葉〉一三「勇名赫々たる某(ボウ)将軍」
[2] 〘代名〙 自称。男性が自己をへりくだっていう。それがし。
※明衡往来(11C中か)中本「某稽首敬白」 〔孟棨‐人面桃花〕
くれ【某】
〘代名〙 不定称の人称代名詞。「何」という語と並べて用い、名を知らない人、それと定めない人、または名がわかっていてもぼかしていう場合に使う。事物にも使用する。「くれがし」「なにくれ」と熟しても用いられる。
か‐がし【某】
〘代名〙 不定称。名のわからない人、または、いちいち名をあげない人をさす。だれそれ。「なにがし」と対にして用いることが多い。くれがし。
※大鏡(12C前)三「一番にはなにがし、二番にはかがしなどいひしかど、その名こそおぼえね」
くれ‐がし【某】
〘代名〙 人称代名詞。不定称。人の名を誰とはっきり指示しないでいう語。だれそれ。なにがし。それがし。くれ。
※源氏(1001‐14頃)夕顔「なにがしくれかしとかずへしは頭中将の随身、その小舎人童をなんしるしにいひはべりし」
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