敢え無い(読み)アエナイ

デジタル大辞泉 「敢え無い」の意味・読み・例文・類語

あえ‐な・い〔あへ‐〕【敢え無い】

[形][文]あへな・し[ク]
もろく、はかない。あっけない。「―・い最期を遂げる」「―・く負ける」
どうしようもない。しかたがない。
「みづから額髪ひたひがみをかきさぐりて、―・く心細ければ、うちひそみぬかし」〈帚木
張り合いがない。手ごたえがない。
「―・きまで御前おまへ許されたるは」〈・一八四〉
[類語]物足りないあっけない飽き足りない食い足りない意に満たない期待外れ当て外れ不満不満足不服不平不足不本意いら立ちいらつくいら立つ今一いまいち今一つもう一つ不完全燃焼フラストレーションクレーム鬱積うっせき不承知心外愚痴繰り言ぐずぐず難色難色を示す首を振る首を横に振る首をひねるかぶりを振る如何なものか口を尖らす

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「敢え無い」の意味・読み・例文・類語

あえ‐な・いあへ‥【敢無】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]あへな・し 〘 形容詞ク活用 〙 ( 「あえ」は動詞「あう(敢)」の連用形名詞化。こらえられないの意から )
  2. どうにも抵抗できないさま、止められないさまである。しかたがない。
    1. [初出の実例]「かき抱きて乗せ給ひつ。誰も誰もあやしうあえなきことを思ひ騒ぎて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)東屋)
  3. 張り合いがなくてがっかりするさま。
    1. (イ) 意気込んだり予期していたことがそういかなくてあっけない。
      1. [初出の実例]「これを聞きてぞ、とげなき物をばあへなしと言ひける」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
      2. 「永しと思ひつる夏の日も今日はあへなく暮れぬ」(出典:海道記(1223頃)西帰)
    2. (ロ) はたで見ていて、いかにもはかないと感じられる。また、見るも無惨だ。
      1. [初出の実例]「いきほひし滝口、あゑなくまけしかば、しばらく相撲ぞなかりける」(出典:曾我物語(南北朝頃)一)

敢え無いの派生語

あえな‐さ
  1. 〘 名詞 〙

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