歌舞伎用語。尾上菊五郎家の〈家の芸〉。市川団十郎家の〈歌舞伎十八番〉〈新歌舞伎十八番〉に対抗して,5世菊五郎が選定を企て,6世菊五郎が完成。5世には1881年3世菊五郎三十三回忌追善興行で《土蜘(つちぐも)》を演じたときに制定の意図がみられ,87年に《土蜘》を再演した際〈新古演劇十種の内〉と番付に明記,以来1900年までに9曲を選んで没した。12年6世が《身替座禅》(再演)を加えて10種を確定させた。曲目は,尾上松緑,3世菊五郎以来の得意芸と,5世の生きた明治期の新風潮が混交したもので,妖怪変化を主人公とした舞踊劇がほとんどである。《土蜘》《身替座禅》のほかは《一つ家》《羅漢》《刑部姫(おさかべひめ)》《古寺の猫》《茨木》《戻橋》《菊慈童》《羽衣》。
執筆者:鳥越 文蔵
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尾上菊五郎(おのえきくごろう)家が家の芸とする10種の歌舞伎(かぶき)劇。5世菊五郎が市川団十郎家の「歌舞伎十八番」「新歌舞伎十八番」に対抗して企図したもので、1887年(明治20)の『土蜘(つちぐも)』再演のときに初めて名づけ、以後『茨木(いばらき)』『一つ家(や)』『戻橋(もどりばし)』『菊慈童(きくじどう)』『羅漢(らかん)』『古寺(ふるでら)の猫(ねこ)』『刑部姫(おさかべひめ)』『羽衣(はごろも)』の9種まで選び、のち6世菊五郎が1912年、自身創演の『身替座禅(みがわりざぜん)』を再演したときにこれを加えて10種とした。ほとんどが初世松助・3世菊五郎以来尾上家の芸とされた妖怪変化(ようかいへんげ)の役であり、また明治の高尚趣味を反映して能・狂言に取材した作品や、その形式を模した演目の多いことが特色。
[松井俊諭]
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…古典では,勘平,権八,権太,福岡貢などの代表作もあるが,河竹黙阿弥が書いた《盲長屋梅加賀鳶》の2役,《天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)》の直次郎,3世河竹新七が書いた《塩原多助一代記》《怪異談牡丹灯籠》《江戸育御祭佐七》,竹柴其水が書いた《神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)(め組の喧嘩)》の辰五郎のような,生世話,いきな江戸っ子,悪人などが得意であった。新作舞踊として《茨木》《戻橋》《土蜘(つちぐも)》なども作り,新古演劇十種を家に残した。その芸は15世羽左衛門と,実子の6世菊五郎がついだ。…
※「新古演劇十種」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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