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時制 じせいtense

翻訳|tense

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

時制
じせい
tense

文法範疇の一つで,定動詞の活用によって,おもに時の概念を表わすもの。時称ともいう。たとえば英語ではI go. (私は行く) とI went. (私は行った) のような対立が動詞助動詞全般にみられるので,現在時制,過去時制の2つの時制をもつということができる。このように,古典語における時制とは本来動詞の語形替変によって表わされるものをさしたが,古典文法の影響を受けた現代語の文法では,概念のうえでの時と混同されるのが普通である。伝統的な英文法で willや shallを伴う形を未来時制と呼ぶのもその例である。現在,未来,未完了,アオリスト,完了,過去完了,未来完了とそれぞれ呼ばれる7時制をもつ古代ギリシア語では,時制は時間の観念とともに動作の行われ方の様相を表わしていて,印欧祖語ではむしろ時間のほうが付帯的な観念であったと考えられている。

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百科事典マイペディアの解説

時制【じせい】

時称とも。動詞における時間的関係を示す文法範疇(はんちゅう)。絶対的時間関係と必ずしも対応するものではなく,ある点を現在とすれば,その前・後が過去・未来となる。
→関連項目助動詞

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世界大百科事典 第2版の解説

じせい【時制 tense】

動詞にみられる文法的カテゴリーの一つで,動詞の表す行為・状態などを時間軸上にどう位置づけるかにかかわるものである。日本語で〈時称〉あるいは〈テンス〉とも呼ばれる。伝統文法では,話者発話時点基準にしてそれを現在とし,前後を過去および未来とするシステムがたてられた。英語でjumped―jump―will(shall) jumpを過去形現在形未来形と呼ぶのもそれにならったものである。こうしたようにある時点を基準とする時制体系を絶対時制と呼ぶ。

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大辞林 第三版の解説

じせい【時制】

インド-ヨーロッパ語などの文法範疇の一。時間軸上の一時点を基にして、時間の前後関係(現在・過去・未来など)を表す動詞の組織的語形変化。テンス。時。時称。時相。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

時制
じせい

文法的カテゴリーの一つ。英語でテンスtenseともいう。文表現の内容を時間の流れのどこかに結び付ける手段。言語により、動詞の語形変化によって示されることもあり、助動詞など動詞と結び付く別の語形によって示されることもある。
 時制がさす時間は、発話時を中心とする現在時、その前の過去時、あとの未来時に3区分されるのが普通である。基準となる現在時は、瞬時からかなりの長さの時間まで伸縮自在であり、物理的に規定することはできない。文脈および動詞の意味の性質(瞬間動詞・状態動詞など)の組合せにより、さまざまの時間的状況をさす。ある言語が三つの時制を区別しているとしても、実際の用法では三つの時間帯と一対一の結び付きを示すとは限らない。現在時制で過去のできごとを描写する「歴史的現在」、過去時制で現在時についての想定を意味する「非現実用法」などがある。一般に現在時制は、時間とは直接に関係のない、一般的真理とか物事の手順をさすのに用いられるので、積極的に現在時をさすのではないと考えられる。
 個々の言語の分析に際しては、日本語のように時制を認めるか否か議論が定まらない場合がある。つまり、時制のかわりに相(アスペクト)を示しているとし、ル形は未完了、タ形は完了を示すという説がある。英語では、時制は認められ、過去時制と非過去時制はあるが、未来時制を認めるか否か議論が定まっていない。中国語北京(ペキン)方言のように、はっきり時制はないといえる言語もある。
 実際の用法ではいくつかの語形を組み合わせて、細かい時間表現をすることがある。シタトコロダで近接過去、シテイルトコロダで現在進行、スルトコロダで近接未来を表せる。それとは別に、スルという現在時制あるいは未完了相が話者の意志という「法」(ムード)的意味を伴うというようなこともある。[国広哲弥]

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