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杜子春伝 とししゅんでんDu Zi-chun zhuan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

杜子春伝
とししゅんでん
Du Zi-chun zhuan

中国,晩唐の伝奇小説。李復言の作。作者の小説集『続玄怪録』のなかの一編六朝時代末の杜子春が家財を使い果して道士からしばしば金を与えられ,その恩返しに山中に入って仙薬を練る手伝いをする。そのためにさまざまな試練にあうが,最後に女に生れ変り,自分の産んだ子が頭を石にたたきつけられるのを見て禁じられていた声を立て,ついに仙人になれずに終った物語。話の原形は西域から伝わったと考えられ,唐の玄奘 (げんじょう) の『大唐西域記』巻七に同種の話がある。またゾロアスター教の影響があるとも指摘されている。なお芥川龍之介の小説『杜子春』は本編の翻案。

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デジタル大辞泉の解説

とししゅんでん【杜子春伝】

中国、代の伝奇小説。鄭還古(ていかんこ)著。杜子春が、ある仙人に認められ、仙人になるため華山に登って修行したが、肉親に対する愛情を捨てきれずに失敗する物語。芥川竜之介の「杜子春」はこの翻案。

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百科事典マイペディアの解説

杜子春伝【とししゅんでん】

中国,唐代の小説。李復言(775年―833年)の作。資産を蕩尽(とうじん)した杜子春が,一老人から大金をもらうがそのたびに使ってしまい,3度目に初めて慚愧(ざんき)し,慈善に投じ,1年後に老人を華山に尋ねて道士となるという筋。

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世界大百科事典 第2版の解説

とししゅんでん【杜子春伝 Dù zǐ chūn zhuàn】

中国,唐代の小説。李復言(775‐833)の著に成る《続玄怪録》中の一編で,《杜子春》と題されている。明・清の刊本叢書の中には牛僧孺や鄭還古に偽託するものがある。北周・隋のころ長安の浮浪者杜子春が仙丹焼成を志す老人から大金を授けられ,一夜無言の行に入るが,意志薄弱のため声を発し,老人の術は破れることを述べる。玄奘(げんじよう)の《大唐西域記》のバーラーナシー国の項の烈士池伝説と,《神仙伝》の張道陵説話を加味して構成された物語。

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大辞林 第三版の解説

とししゅんでん【杜子春伝】

中国、唐代の短編伝奇小説。鄭還古ていかんこ(一説に、李復言りふくげん)作。長安を流浪していた杜子春が道士の老人に助けられて素行を改め、仙人になる修業をする。喜・怒・哀・懼・悪・欲の情には耐えられたが、子供への愛情を捨て切れずに失敗する。芥川竜之介の「杜子春」はこれを翻案したもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

杜子春伝
とししゅんでん

中国、唐代の伝奇小説。李復言(りふくげん)の編んだ伝奇集『続玄怪録(ぞくげんかいろく)』に収録。初め放蕩児(ほうとうじ)であった杜子春が、ある仙人に認められ、仙人になるための修行をし、俗界の情念を一つ一つ捨て去ることに成功するが、結局、肉親に対する愛情だけは捨てきれず、ふたたび俗界に戻されるという物語。編者李復言の伝記は伝わらないが、文宗(ぶんそう)の太和(たいわ)年間(827~835)から宣宗(せんそう)の大中(だいちゅう)年間(847~859)にかけて在世した人らしい。この時代は、牛僧孺(ぎゅうそうじゅ)の『玄怪録』をはじめとして、短編小説を集めて小説集を編むことが流行していたから、『続玄怪録』もこの風潮にのって編まれたもので、この小説も李復言の創作ではないかもしれない。芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)にも、これに基づいた作品『杜子春』がある。[高橋 稔]
『高橋稔・西岡晴彦訳『中国の古典32 六朝・唐小説集』(1982・学習研究社)』

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