根室(支庁)(読み)ねむろ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「根室(支庁)」の意味・わかりやすい解説

根室(支庁)
ねむろ

北海道東部、根室海峡に面する羅臼(らうす)、標津(しべつ)、中標津別海(べつかい)の4町を所管区域とした北海道庁の出先機関。2010年(平成22)、支庁制度改革によって根室振興局改称・改組された。支庁所在地は根室市。原則として市域は所管外であるが、根室市を含む地域を意味する場合もあり、実務上も同市を含めて管内とされることが多かった。なお、いわゆる「北方領土」に含まれる色丹(しこたん)島の色丹村、国後(くなしり)島の泊(とまり)村と留夜別(るよべつ)村、択捉(えとろふ)島の留別(るべつ)村、紗那(しゃな)村、蘂取(しべとろ)村については、北海道支庁設置条例(昭和23年9月27日・条例第44号)の附則で「当分の間これ(条例)を適用しない」こととされている。

 旧管内は標高100メートル前後の根釧台地(こんせんだいち)が広範囲を占める。洪積台地上は火山灰が被覆し、泥炭が露出する劣悪土壌のため、開発は遅れた。1957年(昭和32)に始まる別海町のパイロットファームによる酪農業は、その後、周辺の中標津町、根室市などにも及び、「新酪農村」とよばれる広大型酪農業へと発展した。農家1戸当りの経営農地56.8ヘクタールは日本最大であり、設備近代化機械化一段と進んだ。5~8月は濃霧日数が多く、また夏季は日本での最低温地域であり、結実作物はほとんど栽培されない。農家の約93%が酪農を営み、バター粉乳に加工する森永、雪印メグミルク明治の三大乳業資本の加工場が配置されている。

[進藤賢一]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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