桜間道雄(読み)サクラマミチオ

デジタル大辞泉 「桜間道雄」の意味・読み・例文・類語

さくらま‐みちお〔‐みちを〕【桜間道雄】

[1897~1983]能楽師シテ方金春流熊本の生まれ。桜間左陣桜間弓川師事巧緻こうち・艶麗な芸風と、独自な曲の解釈特色とした。

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新撰 芸能人物事典 明治~平成 「桜間道雄」の解説

桜間 道雄
サクラマ ミチオ


職業
能楽師(金春流シテ方)

肩書
重要無形文化財保持者(能シテ方)〔昭和45年〕

生年月日
明治30年 9月14日

出生地
熊本県 熊本市

経歴
熊本の金春流シテ方・桜間林太郎の二男に生まれる。明治43年子方で初舞台。大正2年上京し、伯父で明治の名人だった桜間伴馬(左陣)に師事。昭和20年3月京都に移住、金春流宗家光太郎(八条)の演能の世話をする。24年東京に戻る。30年三島由紀夫作・武智鉄二演出の「綾の鼓」に主演。32年より日本能楽会会員。奥深く繊細な味わいの芸風で、35年「定家」で、42年「道成寺」でそれぞれ芸術祭文部大臣賞を受賞。さらに45年人間国宝に認定された。代表的な舞台に「檜垣」「砧」「井筒」「卒塔婆小町」「角田川(隅田川)」など。能楽界きっての理論派、毒舌家としても知られ、著書に「能―捨心の芸術」がある。

受賞
芸術選奨文部大臣賞(昭44年度)〔昭和45年〕「野宮」 勲四等瑞宝章〔昭和43年〕 芸術祭賞〔昭和35年・42年〕,毎日芸術賞(第15回 昭48年度)〔昭和49年〕「伯母捨

没年月日
昭和58年 5月27日 (1983年)

家族
父=桜間 林太郎(能楽師),孫=桜間 右陣(能楽師)

親族
伯父=桜間 左陣(能楽師)

伝記
能楽三代 桜間 金太郎 著(発行元 白水社 ’87発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「桜間道雄」の意味・わかりやすい解説

桜間道雄 (さくらまみちお)
生没年:1897-1983(明治30-昭和58)

能楽師。金春(こんぱる)流シテ方。桜間林太郎(桜間伴馬(ばんま)の末弟)の次男。はじめ父に師事し,1913年上京後は伯父の伴馬について修業堅確な技術をもって早くから実力を評価されていたが,花開いたのは60年代以降で,伯父譲りの巧緻・艶麗な芸風に自己の研鑽と主張を積み重ね,高度な技術を有すると同時に,技術を超えた高い様式を獲得した。あらゆる曲趣に秀でていたが,とくに《定家》《江口》《西行桜》などが名演として知られ,老女物の秘曲《檜垣(ひがき)》を2回,壮者の体力と集中力を要する《道成寺》を70歳と84歳で舞うなど,老いを感じさせぬ意欲と探求心を示した。1960年度・67年度芸術祭大賞,69年度芸術選奨文部大臣賞受賞。70年,重要無形文化財保持者各個指定(人間国宝)に認定された。著書に《能・捨心の芸術》。
執筆者:

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20世紀日本人名事典 「桜間道雄」の解説

桜間 道雄
サクラマ ミチオ

大正・昭和期の能楽師(金春流シテ方)



生年
明治30(1897)年9月14日

没年
昭和58(1983)年5月27日

出生地
熊本市

主な受賞名〔年〕
芸術祭文部大臣賞〔昭和35年 42年〕,芸術選奨文部大臣賞〔昭和45年〕,毎日芸術賞(第15回)〔昭和49年〕

経歴
熊本の能楽師の家に生まれる。奥深く繊細な味わいの芸風。金春流のシテ方として35年「定家」で、42年「道城寺」でそれぞれ芸術祭文部大臣賞を受賞。さらに45年重要無形文化財保持者(人間国宝)に指定された。著書に「能―捨心の芸術」がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「桜間道雄」の意味・わかりやすい解説

桜間道雄
さくらまみちお
(1897―1983)

能役者。金春(こんぱる)流シテ方。桜間林太郎の次男。熊本市生まれ。16歳で上京、伯父の桜間伴馬(ばんま)、従兄弟(いとこ)の桜間金太郎(後の弓川(きゅうせん))に師事する。同年生まれで、同じ熊本出身の名手本田秀男、桜間弓川亡きあと、磐石(ばんじゃく)の技術と独特の能の主張で能界に重きをなした。老女能『檜垣(ひがき)』を流儀に復興、三度演じ、84歳で『道成寺』を舞うなど、前人未到の業績を残した。1970年(昭和45)に重要無形文化財保持者に認定される。油絵をよくし、また武智(たけち)鉄二演出の『綾(あや)の鼓』(三島由紀夫作)、『絵姿女房』(矢代(やしろ)静一作)などにも出演している。著書に『能――捨心の芸術』がある。

[増田正造]

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百科事典マイペディア 「桜間道雄」の意味・わかりやすい解説

桜間道雄【さくらまみちお】

能楽師。金春(こんぱる)流シテ方。熊本県生れ。桜間伴馬の甥。伯父および従兄の桜間弓川に師事。巧みな芸と,技術を超えた様式を確立し,新作能にも挑戦。旺盛な意欲をもち,晩年まで第一線で活躍した。1970年人間国宝。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「桜間道雄」の解説

桜間道雄 さくらま-みちお

1897-1983 大正-昭和時代の能楽師シテ方。
明治30年9月14日生まれ。金春(こんぱる)流。伯父桜間伴馬(ばんま)らにまなぶ。昭和30年三島由紀夫作・武智鉄二演出の「綾の鼓」に主演。45年老女物の秘曲「檜垣(ひがき)」を上演。同年人間国宝。昭和58年5月27日死去。85歳。熊本県出身。著作に「能―捨心の芸術」。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「桜間道雄」の意味・わかりやすい解説

桜間道雄
さくらまみちお

[生]1897.9.14. 熊本
[没]1983.5.27. 東京
能楽師,金春流シテ方。桜間林太郎の次男。伯父の左陣および従兄の金太郎 (弓川) に師事した。 1914年『忠度』で初シテ。研究と工夫を積重ねた巧緻な芸風で知られた。 69年芸術選奨文部大臣賞受賞。 70年重要無形文化財保持者。著書に『能・捨心の芸術』 (1972) がある。

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367日誕生日大事典 「桜間道雄」の解説

桜間 道雄 (さくらま みちお)

生年月日:1897年9月14日
大正時代;昭和時代の能楽師
1983年没

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