(1)人形浄瑠璃。世話物。3巻。紀海音作。1709-10年(宝永6-7)ころ大坂豊竹座初演。大坂新町の太夫松山を溺愛,家産を傾けて水死したと伝えられる大坂の豪商椀屋久右衛門の生涯を劇化。新町の揚屋で節分の夜に一分金をまきちらして豪遊していた椀屋久兵衛は,親の久右衛門に勘当され,舅義右衛門に引き取られて座敷牢に入れられた。ひそかに訪れた恋人の松山は久兵衛の妻おさんの真情に義理を立て,久兵衛との縁切りを承知した。狂乱して町々を狂い歩いた久兵衛だが,最後に救われ,松山と結ばれた。(2)一中節の曲名。世話物。作者不詳。3巻。1709-10年ころ成立。詞章は(1)とほとんど同一で,成立の前後関係が問題とされているが,おそらく(2)が先行か。(3)戯曲。2幕5場。渡辺霞亭作。1906年3月大阪中座初演。久兵衛を初世中村鴈治郎,松山を4世中村芝雀(のちの3世雀右衛門)が演じた。玩辞楼十二曲の一つに選ばれたもので,久兵衛が禁酒を破って酒乱になり,小判をまきちらすところが見せ場。2世鴈治郎,2世中村扇雀に受けつがれている。(4)戯曲。2幕3場。岡村柿紅作。1912年1月東京市村座初演。久兵衛を6世尾上菊五郎,松山を8世尾上芙雀(のちの3世菊次郎)が演じた。紀海音の浄瑠璃の上の巻と下の巻を劇化。下の巻狂乱の場は,清元と竹本を使って半舞踊劇に仕立てたもの。
→椀久物
執筆者:諏訪 春雄+松井 俊諭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新