(読み)くすのき

精選版 日本国語大辞典 「楠」の意味・読み・例文・類語

くすのき【楠・楠木】

  1. 姓氏の一つ。

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普及版 字通 「楠」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 13画

(異体字)
8画

[字音] ナン
[字訓] うめ・くすのき

[説文解字]

[字形] 形声
声符は南(なん)。正字はに作り、(ぜん)声。楠はその俗字。〔爾雅、釈木〕に「なり」とし、〔郭璞注〕に「杏に似て實酢し」とみえる。〔注〕に引く〔孫炎注〕に「州にてはと曰ひ、揚州にてはと曰ふ」とするものは、予章に似た大木であるらしい。晋の左思の〔呉都の賦〕に「楠榴(なんりう)の木」とあり、瘤(こぶ)の多い木をいう。わが国ではくすのきをいう。

[訓義]
1. うめ。
2. くすのき。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕楠 木、りて香し。久須之木(くすの木)。は同じ 〔和名抄〕楠 久須乃(くすのき) 〔名義抄〕楠 クスノキ マセカキ・タテキ

[熟語]
楠木・楠榴

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日本歴史地名大系 「楠」の解説


くす

室町時代伊勢湾の諸港には「警固」と称する海の関が設けられていたが、楠もその一つであった。「警固」には「本警固」と文明五年(一四七三)以降に設置されたと考えられる「新警固」とがあったが、いずれも伊勢湾を航行する舟から「警固役」と称する関銭を徴収した。設置者は国人・守護被官などで、伊勢神宮はしばしば庁宣を出して「新警固」の停止を求めている。文明一四年五月二〇日の外宮一禰宜度会朝敦の書状(内宮引付)に「先日亀山より楠警固も自神宮停止之由聞候、さ様候哉と被尋之間、その返事ニ、平尾・楠・桑名三ケ所之事ハ、本之警固之事候間、不申之由返事申候処、楠分とて又可出札之由被申之、其謂相尋候ヘハ、亀山之領豊田と申在所を守護代方ヘ押也、さ候間、其替ニ楠を押領候なり、然共楠警固代々守護知行之事候之間、於于今札を出之処、楠当知行とて又二重ニ新儀被申候間、(下略)」とあって、楠は本警固として守護の支配下に置かれていたが、この時、一色氏の守護代石河直清が亀山の関氏の所領を押領したことにより、これに対抗して関氏がこの地を押えたことが知られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「楠」の意味・わかりやすい解説

楠(山口県)
くすのき

山口県南西部、厚狭郡(あさぐん)にあった旧町名(楠町(くすのきちょう))。現在は宇部市(うべし)の北西部を占める地域。1955年(昭和30)船木町と万倉(まぐら)、吉部(きべ)の2村が合併して成立。2004年(平成16)宇部市と合併。旧町域は、有帆(ありほ)川の中・上流域に位置し、国道2号が通じる。船木地区は旧山陽道(国道2号)の宿場町で、萩(はぎ)藩舟木宰判勘場(さいばんかんば)(代官所)、御茶屋があり、厚狭郡の中心として発達した。明治以降は郡役所や区(簡易)裁判所などが置かれたが、山陽本線が南部の宇部市を通り、宇部から軽便鉄道が走ったものの、のちに廃止され、郡の中心は厚狭(山陽小野田市)に移った。船木周辺の丘陵は宇部炭田の一部で、藩政時代から石炭採掘が盛んであったが、すべて閉山した。稲作のほか酪農、園芸があり、シイタケ、茶を産する。近年は企業誘致に力を入れ工業が中心となっている。赤間硯(あかますずり)の原石を特産する。吉部の大岩郷(おおいわごう)は大石の積み重なったもので国の天然記念物。岩戸神楽(かぐら)舞は県指定無形民俗文化財。

[三浦 肇]

『原田卓雄著『楠町の歴史』(1980・楠町)』



楠(三重県)
くす

三重県北部、三重郡にあった旧町名(楠町(ちょう))。現在は四日市(よっかいち)市南東部を占める地域。旧楠町は、1940年(昭和15)町制施行。町名は中世以来の郷村名による。2005年(平成17)四日市市編入。旧町域は、伊勢(いせ)湾に面した鈴鹿(すずか)川の三角州上にあり、鈴鹿市に接する。近畿日本鉄道名古屋線、国道23号が通じる。南北朝時代には伊勢神宮の神田(しんでん)があり、室町時代には三河(みかわ)への海上交通の拠点で、水上関が置かれた。楠木(くすのき)氏の城も築かれ、城跡にクスノキの老大木が1本ある。1933年中央毛糸(現、トーア紡マテリアル)、1934年東洋毛織(現、東洋紡ロジスティクス三重物流センター)が立地し、その後、宝酒造、三鈴工機、吉富製薬(のち吉富ファインケミカル、エーピーアイコーポレーション。2009年工場閉鎖)などが進出した。現在、四日市石油コンビナートの一部で、北伊勢工業地域の一角を占める。また、中国から輸入したハマグリを生育して全国に出荷するハマグリの蓄養が盛んである。

[伊藤達雄]

『『楠町史』(1978・楠町)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「楠」の意味・わかりやすい解説


くす

三重県北部,四日市市南東部の旧町域。鈴鹿川河口に位置し,伊勢湾に臨む。 1940年町制。 2005年四日市市に編入。地名は,楠正成の遺子正信が域内の本郷に築城したという説に基づくが,楠の郷名の由来については諸説があって定かでない。 1933年頃から紡織,毛織,製網,酒造などの大工場が相次いで立地した。北伊勢工業地域の一角をなす。


くすのき

山口県南西部,宇部市北西部の旧町域。 1955年船木町と吉部 (きべ) 村,万倉村の2村が合体して楠町が発足。 2004年宇部市に編入。南部を流れる有帆川河岸の船木が中心集落で,かつて山陽道 (現国道2号線) の宿場町,明治時代以後も郡役所が置かれ,この地方の中心地として栄えた。農業のほか,伝統工芸品の船木櫛や,赤間硯の特産品がある。吉部の大岩郷は国の天然記念物。

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百科事典マイペディア 「楠」の意味・わかりやすい解説

楠[町]【くすのき】

山口県西部,宇部・小野田(現・山陽小野田市)両市の北に接する厚狭(あさ)郡の旧町。南の有帆(ありほ)川流域に山陽道の旧宿場町であった主集落船木がある。米作,野菜栽培,施設園芸を行う。赤間硯(あかますずり)を特産。2004年11月宇部市へ編入。77.02km2。7317人(2003)。

楠[町]【くす】

三重県北部,鈴鹿市と四日市市の間の三重郡の旧町。北勢工業地帯に属し紡績工業が盛んで,醸造・化学・機械工業も行われる。近鉄名古屋線が通じ都市化が進む。2005年2月四日市市へ編入。7.76km2。1万1002人(2003)。

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改訂新版 世界大百科事典 「楠」の意味・わかりやすい解説

楠 (くす)


楠 (くすのき)

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デジタル大辞泉プラス 「楠」の解説

高知県、千葉県で生産されるビワ。中生種。果肉は薄いが柔らかく、酸味は少なく、食味はよい。高知県原産。現在はほとんど栽培されていない。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「楠」の解説

楠 (クスノキ・クス)

学名:Cinnamomum camphora
植物。クスノキ科の常緑高木,園芸植物,薬用植物

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