楽しむ(読み)タノシム

デジタル大辞泉 「楽しむ」の意味・読み・例文・類語

たのし・む【楽しむ】

[動マ五(四)]
満ち足りていることを実感して愉快な気持ちになる。「独身生活を―・む」「休日を―・む」「余生を―・む」
好きなことをして満足を感じる。「読書を―・む」「ドライブを―・む」
先のことに期待をかけ、そうなることを心待ちにする。「子供成長を―・む」
富む。裕福になる。
仏御前ゆかりの者どもぞ、始めて―・み栄えける」〈平家・一〉
[可能]たのしめる
[類語](1)(2興ずる堪能たんのうする満喫する享受する享楽するエンジョイする興がる・興を添える・興趣が募る・興に入る興に乗る歓を尽くす感興歓楽逸楽安逸交歓合歓

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「楽しむ」の意味・読み・例文・類語

たのし‐・む【楽】

  1. ( 形容詞「たのしい」の動詞化 )
  2. [ 1 ] 〘 自動詞 マ行五(四) 〙 欲望・願望などが満たされた状態になる。
    1. 心が満ち足りて安らぐ。楽しく思う。
      1. [初出の実例]「遂に与に遊田(かり)に盤(タノシム)て一の鹿を逐(お)ひて」(出典:日本書紀(720)雄略四年二月(図書寮本訓))
    2. 経済的に、裕福になる。
      1. [初出の実例]「毎月におくられたりける百石百貫をもいまはとどめられて、仏御前が所縁(ゆかり)の者共ぞ、始めて楽(タノシ)み栄えける」(出典:高野本平家(13C前)一)
  3. [ 2 ] 〘 他動詞 マ行五(四) 〙
    1. ( 多く「…をたのしむ」の形で ) …の中に、あるいはその状態において、心の満足を感じる。
      1. [初出の実例]「道のほとりのあだ言の中に我一念の発心を楽(タノシム)かりにやといへり」(出典:発心集(1216頃か)序)
    2. ある持続的な行為によって、心を快適にする。また、満足しながら、ある行為をする。
      1. [初出の実例]「助六と揚巻さまは、今に仲がよう楽しまれますか」(出典:歌舞伎・助六廓夜桜(1779))
    3. 将来に期待をかけることによって、心を希望で満たす。
      1. [初出の実例]「Tanoshinde(タノシンデ) マツ」(出典:和英語林集成初版)(1867))
  4. [ 3 ] 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙 たのしませる。
    1. [初出の実例]「ひろく衆生を饒益(ネウヤク)(〈注〉タノシメ)したまふをみて」(出典:妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)二)

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