欠く(読み)カク

デジタル大辞泉 「欠く」の意味・読み・例文・類語

か・く【欠く/×闕く】

[動カ五(四)]
かたい物の一部分を壊す。損ずる。「茶碗ふちを―・く」「氷を―・く」
なくては困るもの、また必要とするものが備わっていない。あるべきものを持たない。「精彩を―・く表情」「きめ手を―・く」
(「欠くことができない」「欠くべからざる」の形で)それなしでは済ますことができない。絶対なくてはならない。「水は人間に―・くことができない」「必要―・くべからざる条件
なすべきことを怠る。おろそかにする。「義理を―・く」「勇気を―・く行為
[可能]かける
[動カ下二]か(欠)ける」の文語形
[類語]壊す割る破壊する損壊する毀損きそんする破損する損傷する損ずるそこなうこぼ傷付ける砕く破る崩すつぶ打ち砕く打ち壊すぶち壊す取り壊す叩き壊す破砕砕破全壊壊滅

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「欠く」の意味・読み・例文・類語

か・く【欠・缺・闕】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 カ行五(四) 〙
    1. 物の一部分をこわす。また、一部を削り減らす。
      1. [初出の実例]「劓 波奈加久」(出典:新撰字鏡(898‐901頃))
      2. 「カミノ ハシヲ caqu(カク)〈訳〉紙の端を切る」(出典日葡辞書(1603‐04))
    2. 度合、数量などの点で不足する。あるべきものを持たない。欠如する。
      1. [初出の実例]「日と月と星宿と常の度において虧(カク)こと無けむ」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)六)
      2. 「文を作るのに欠(カ)くべからざるものは」(出典:侏儒の言葉(1923‐27)〈芥川龍之介〉作家)
    3. そろっているはずのもの、続くはずのものの一部を抜かす。
      1. [初出の実例]「四十九日のこと、たれもかくことなくて、家にてぞする」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
      2. 「朝ごとの御念誦、かかせ給はず」(出典:古本説話集(1130頃か)一)
    4. いいかげんにする。おろそかにする。つとめを怠る。
      1. [初出の実例]「滝口・帯刀など番かかずさぶらふ」(出典:栄花物語(1028‐92頃)見はてぬ夢)
      2. 「義理を欠いたを知らんでは無からうが」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉電影)
    5. むだにする。費やす。〔和英語林集成再版)(1872)〕
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙かける(欠)

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