砕く(読み)クダク

デジタル大辞泉 「砕く」の意味・読み・例文・類語

くだ・く【砕く/×摧く】

[動カ五(四)]
強い力を加えて、固い物やかたまりになっている物を細かくする。「岩を―・く」
勢いを弱らせる。計画などをつぶす。くじく。「野望を―・く」

㋐(「心をくだく」の形で)あれこれと心を悩ます。思い悩む。「善後策に日夜心を―・く」
㋑(「身をくだく」の形で)労苦をいとわず懸命に尽くす。身を粉にする。「会社の再建に身を―・く」
物事をわかりやすく説明する。平たく言う。「内容を―・いて説明する」
細かく分ける。細分する。
「四十八手のその内を、百手ももてに―・きて」〈仮・竹斎・上〉
[可能]くだける
[動カ下二]くだける」の文語形
[下接句]肝胆を砕く気を砕くきもを砕く心を砕く心肝を砕く心気を砕く肺肝を砕く身を砕く
[類語](1擂る碾く搗く壊す割る破壊する損壊する毀損きそんする破損する損傷する損ずるそこなうこぼ傷付ける欠く破る崩すつぶ打ち砕く打ち壊すぶち壊す取り壊す叩き壊す破砕砕破全壊壊滅/(2挫く弱める邪魔妨害阻害そがい干渉横槍よこやり障害支障障壁さわ邪魔だて水を差す水をかける足を引っ張る削ぐ圧伏圧殺抑える妨げる遮る立ち塞がるせきとめる制止捕まえる握る挟む押しとどめるストップを掛ける掣肘せいちゅう封殺諫止阻む食い止める立ちはだかる遮断妨害阻止ブレーキが掛かる腰を折る

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「砕く」の意味・読み・例文・類語

くだ・く【砕・摧】

  1. [ 1 ] 〘 他動詞 カ行五(四) 〙
    1. 物に衝撃的な力を加えてこなごなにする。破壊する。
      1. [初出の実例]「流頭の粟の粒を粉(クダキ)て糠を啖(は)むよりも甚だし〈興福寺本訓釈 粉 久大支〉」(出典:日本霊異記(810‐824)上)
      2. 「流石に錠前くだくもあらざりき」(出典:たけくらべ(1895‐96)〈樋口一葉〉六)
    2. 勢力を弱らせる。勢力をうち破る。ひしぐ。
      1. [初出の実例]「豈に復兵戈をもちて相ひ罸(クタク)こと有ることは得むや」(出典:西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)六)
      2. 「そのとき、邪をくだき正をたてずば」(出典:正法眼蔵(1231‐53)袈裟功徳)
    3. ( 「心をくだく」の形で ) あれこれと心をなやます。心を痛める。
      1. [初出の実例]「雨ふれば激(たき)つ山川岩に触れ君が摧(くだか)む情(こころ)は持たじ」(出典:万葉集(8C後)一〇・二三〇八)
      2. 「人しれぬ心をくだき給ふ人ぞおほかりける」(出典:源氏物語(1001‐14頃)須磨)
    4. ( 「身をくだく」などの形で ) ある限りの力を尽くす。力をふるう。
      1. [初出の実例]「身をくだきて、山林にまじり給ふ人なん、うらやましくおぼゆる」(出典:宇津保物語(970‐999頃)忠こそ)
    5. こまかく分ける。細別する。細分する。
      1. [初出の実例]「惣じてすまふの手は、四十八手とはいへ共、くだけば百手にも三百手にもとる」(出典:虎明本狂言・鼻取相撲(室町末‐近世初))
    6. 金銭をこまかくする。小銭にかえる。くずす。
      1. [初出の実例]「路銀のうち十両当分入用につかひ給へと渡せば〈略〉人疑へば是をくだきてつかふべき才覚なし」(出典:浮世草子・新可笑記(1688)五)
    7. 事実をありのままにうちあける。事情を話す。
      1. [初出の実例]「『コレ、砕けば斯うサ』と囁く」(出典:歌舞伎・𢅻雑石尊贐(1823)序幕)
    8. 内容を分解してわかりやすくする。かみくだく。
      1. [初出の実例]「坡詩をくわしく砕て観る事は」(出典:史記抄(1477)一七)
      2. 「『人格的意識』、もっと砕(クダ)いて云ふなら『自然な心』『素な心』」(出典:善心悪心(1916)〈里見弴〉)
    9. うちとけた態度、親しみやすい雰囲気(ふんいき)にする。
      1. [初出の実例]「能の狂言を砕(クダ)いて役者舞子とで今で云へば男女優合同劇と云った者を始めた」(出典:江戸から東京へ(1921)〈矢田挿雲〉三)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙くだける(砕)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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