デジタル大辞泉
「止る」の意味・読み・例文・類語
とま・る【止(ま)る/留(ま)る/▽停まる】
[動ラ五(四)]
1 動いていたものが動かなくなる。動きをそこでやめた状態になる。停止する。「時計が―・る」「特急の―・る駅」「エンジンが―・る」
2 続いていたものが続かなくなる。通じていたものが通じなくなる。「成長が―・る」「道はそこで―・っている」「水道が―・る」
3 飛んでいた虫・鳥などが物につかまって静止した状態を保つ。「蝶が花に―・る」「小鳥が枝に―・る」
4 動かないように固定される。「画鋲ではうまく―・らない」
5 心・目・耳に感じられる。印象が消えずに残る。「目に―・る」「耳に―・った話」
6 (「お高くとまる」の形で)えらそうな態度をとる。「お高く―・っていて返事もしない」
7 とりやめになる。中止される。
「いつしか思ひたることの、障ること出で来て、にはかに―・りぬる」〈能因本枕・一〇三〉
8 行き着く。
「ことわりも何もいづこに―・るべきにか」〈源・若菜上〉
9 そこに残る。とどまる。
「行くも―・るもみな泣きなどす」〈更級〉
10 生き残る。この世にとどまる。
「―・りゐる身も老いらくののちなればさらぬ別れぞいとどかなしき」〈新勅撰・雑三〉
[可能]とまれる
[下接句]お高くとまる・御目に留まる・耳に留まる・目が留まる・目に留まる・目にも留まらぬ
[類語]とめる・とどまる・停滞する・停止する・止む・ストップする・踊り場・横ばい・足踏み・渋滞・難航・難渋・停頓
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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とま・る【止・留・停・泊】
- [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
- [ 一 ] 動かないでいる。そこに位置して離れないでいる。
- ① 動いていたものが、動かなくなる。停止する。立ちどまる。
- [初出の実例]「吹く風の 見えぬが如く 行く水の 登麻良(トマラ)ぬ如く」(出典:万葉集(8C後)一九・四一六〇)
- 「簾のもとにとまりて見たる心地こそ、飛びも出でぬべき心地すれ」(出典:枕草子(10C終)九五)
- ② とりやめになる。中止になる。
- [初出の実例]「いとなみ、いつしかと待つことの、さはりあり、にはかにとまりぬる」(出典:枕草子(10C終)九八)
- ③ 続いていた物事がとだえる。
- [初出の実例]「さて夢さめて、涙とまらずして」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)五)
- ④ 通じなくなる。「水道がとまる」
- [初出の実例]「ヲヲ其侍は今の先渡った。が、俄の大水で川が留った」(出典:浄瑠璃・生写朝顔話(1832)宿屋の段)
- [ 二 ] 一定の位置に固定する。
- ① 付着する。固着する。つく。
- [初出の実例]「とまりたる匂などもなべてならずと」(出典:栄花物語(1028‐92頃)暮待つ星)
- ② 目・耳・心などに印象が残る。
- [初出の実例]「よきあしき事の、目にも耳にもとまる有様を」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
- ③ 落着する。終結する。決着する。終わる。
- [初出の実例]「ましてことはりも何も、いづこにとまるべきにか」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
- ④ つかまる。特に、鳥や虫などが枝の上などでからだを安定させる。
- [初出の実例]「トリガ キノ エダニ tomaru(トマル)」(出典:日葡辞書(1603‐04))
- 「とまらんと水にも望むとんぼ哉〈鼓舌〉」(出典:俳諧・俳諧新選(1773)三)
- ⑤ ( 「高くとまる」の意 ) えらぶっている。
- [初出の実例]「ヘンおつうとまりたがるやつだの」(出典:人情本・仮名文章娘節用(1831‐34)前)
- ⑥ 妊娠する。「腹に宿る」意と「月経が止まる」意と両方からいう。
- [初出の実例]「六はらをさすりあぐれば心の臓〈未学〉 たった一夜でとまると覚て〈西似〉」(出典:俳諧・天満千句(1676)八)
- [ 三 ] 行かないでいる。残る。
- ① あとに残る。とどまる。
- [初出の実例]「み越路の雪降る山を越えむ日は留有(とまれる)吾れを懸けて偲はせ」(出典:万葉集(8C後)九・一七八六)
- ② 生き残る。とどまる。
- [初出の実例]「今までとまり侍るがいと憂きを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
- [ 四 ] ( 泊 ) ある場所に、ある時間、継続してとどまる。
- ① 船が港で夜を過ごす。停泊する。
- [初出の実例]「廿九日、おほみなとにとまれり」(出典:土左日記(935頃)承平四年一二月二九日)
- ② 出先で宿をとる。宿をかりる。宿泊する。やどる。
- [初出の実例]「つば市。大和にあまたある中に、長谷に詣づる人のかならずそこにとまるは、観音の縁のあるにや」(出典:枕草子(10C終)一四)
- ③ 宿直する。とのいする。
- [初出の実例]「御とのゐ所に、やがてとまり給ひぬるやうにて、夜ふかして、おはしたり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)末摘花)
- [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙
- ① やめる。よす。
- [初出の実例]「われ思ふ子細ありて思ひたちぬる事なれば、いかにとどめ給ふとも、とまるべきにてあらず」(出典:御伽草子・木幡狐(室町末))
- ② 停止させる。くいとめる。
- [初出の実例]「野口のみぞの水氷滑るをとまる高足駄」(出典:浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)下)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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