清水邦夫(読み)シミズクニオ

デジタル大辞泉 「清水邦夫」の意味・読み・例文・類語

しみず‐くにお〔しみづくにを〕【清水邦夫】

[1936~2021]劇作家演出家小説家新潟の生まれ。劇団木冬もくとう社を創立主宰戯曲真情あふるる軽薄さ」「狂人なおもて往生をとぐ」「わが魂は輝く水なり」など。小説華やかな川、囚われの心」で芸術選奨受賞。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「清水邦夫」の意味・わかりやすい解説

清水邦夫
しみずくにお

[生]1936.11.17. 新潟,新井
[没]2021.4.15.
劇作家。若者苦渋の思いを詩情あふれる台詞でつむぎだし,おもに 1960年代後半から 1970年代にかけて日本のアングラ演劇を牽引した。早稲田大学在学中に書いた処女作『署名人』(1958)で注目される。卒業後,岩波映画製作所でシナリオの執筆を担当,1965年退社。1968年蜷川幸雄らと劇団,現代人劇場(1972年に櫻社に再編,1974年解散)を設立。蜷川のデビュー作となった『真情あふるる軽薄さ』(1969)以降,俳優座に提供した『狂人なおもて往生をとぐ』(1969),現代人劇場による『ぼくらが非情の大河をくだる時』(1972。岸田国士戯曲賞)など話題作を世に送った。1976年,妻で女優の松本典子らと木冬社を結成し,2001年の解散までほぼ年 1回のペースで新作を上演,『夜よ おれを叫びと逆毛で充す青春の夜よ』(1976。紀伊国屋演劇賞個人賞),『わが夢にみた青春の友』(1994。紀伊国屋演劇賞団体賞)などを発表した。このほか代表的な戯曲に『わが魂は輝く水なり―源平北越流誌』(1980。泉鏡花文学賞,テアトロ演劇賞),『エレジー~父の夢は舞う』(1983。読売文学賞戯曲賞),『タンゴ・冬の終わりに』(1984)など。また小説も書き,『華やかな川,囚われの心』(1992)で芸術選奨文部大臣賞を受賞した。1994~2007年多摩美術大学教授。2002年紫綬褒章,2008年旭日小綬章受章。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「清水邦夫」の意味・わかりやすい解説

清水邦夫
しみずくにお
(1936―2021)

劇作家、演出家、小説家。新潟県生まれ。早稲田(わせだ)大学演劇科在学中に処女戯曲『署名人』(1958)を発表。一時、岩波映画で羽仁進(はにすすむ)とともにシナリオを書いたが、『狂人なおもて往生をとぐ』(1969)で劇界での地歩を固めた。以後、演出家の蜷川幸雄(にながわゆきお)と組んで清新な作品を次々と送り出し、新世代の旗手となった。1976年(昭和51)以後は夫人の女優松本典子(のりこ)(1935―2014)とともに木冬社(もくとうしゃ)を主宰し、演出にも才能をみせた。代表作に『楽屋』(1977)、『火のようにさみしい姉がいて』(1978)、『戯曲冒険小説』(1979)、『わが魂は輝く水なり』(1980)など。小説では『月潟村柳書』(1986)、『風鳥』(1993)がある。1984年読売文学賞受賞。

[大島 勉]

『『清水邦夫の世界』(1982・白水社)』『『清水邦夫全仕事 1958~1980』上・下(1992・河出書房新社)』『『清水邦夫全仕事 1981~1991』上・下(1992・河出書房新社)』

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「清水邦夫」の解説

清水邦夫 しみず-くにお

1936- 昭和後期-平成時代の劇作家。
昭和11年11月17日生まれ。「真情あふるる軽薄さ」が蜷川(にながわ)幸雄の演出で若者の支持をえる。昭和47年「ぼくらが非情の大河をくだる時」で「新劇」岸田国士戯曲賞。51年劇団木冬(もくとう)社を創立。59年「エレジー」で読売文学賞,平成3年「弟よ」,5年「華やかな川、囚われの心」で芸術選奨。妻は女優松本典子。新潟県出身。早大卒。作品はほかに「タンゴ・冬の終わりに」など。

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