翻訳|periscope
望遠鏡の一種で、下層から上層の状況を観測する光学装置。第二次世界大戦中、レーダー、ソナーが発達するまで潜水艦のもっとも重要な索敵兵器であり、航海兵器としても使われ、潜航中の艦内から海面にその先端を出し外界を観測し、また攻撃のための照準器としても用いられる。このときの潜航深度を潜望鏡深度という。不感性ニッケル鋼製や不銹(ふしゅう)鋼製の細長い円筒(外筒)の上・下部に直角プリズム、筒内に数個のレンズがあり、筒の旋回で海上全周の、上部プリズムの俯仰(ふぎょう)回転で上空の視界が得られ、倍率は可変で、高さは小型艇用の3.5メートルから大型艦用の十数メートルまである。昇降は、大戦までの艦は電動式または油圧伸長筒式を用いたが、今日は油圧ピストン方式である。現在の潜水艦では普通、ソナー探信で攻撃するが、潜望鏡は航海、偵察などに依然重用され、おおむね同一光学系のものを常用・補用の2本装備している。捜索用・襲撃用または昼間用・夜間用の2種装備のものもあり、レーダー、電波探知装置、レーザー測距儀、赤外線画像装置、低照度テレビ、人工水平六分儀などを組み込み、複合センサー化している。近年の潜水艦では、先端にデジタルハイビジョンテレビカメラなどを装備し、船体内殻を貫通せず、その上方のセール内に納める「非貫通型潜望鏡」が併設されるようになった。瞬時に海上全周を監視、捜索、撮影し、取得電子映像情報を光ケーブルで艦内のディスプレイ装置に伝達、表示する方式のもので、潜水艦内での正確な状況把握、船体内配置、被探知防止などの面で利点がある。海上自衛隊の潜水艦では「そうりゅう」級(2009年完成)が初採用している。潜水艦用以外のものとして、陸軍での野戦観測用(可搬式)、要塞(ようさい)用(固定式)、戦闘車両用などがある。
[阿部安雄]
ペリスコープともいう。潜水艦が潜航中に海面上の偵察に使用する光学兵器。上下に直角プリズムをつけ,数個のレンズを組み合わせた長円筒形の昇降式反射望遠鏡で,先端を海面上に出し,旋回することにより周囲の状況を見ることができる。倍率は可変で,テレビ,写真撮影装置,暗視装置,測距装置などを内蔵する。同じ原理を応用したものが,戦車用,原子炉監視用など,多方面で使用されている。
執筆者:北島 郁夫
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