単斜灰簾石と同質異像の関係にある鉱物で、緑簾石の仲間。肉眼的に単斜灰簾石と区別できない。結晶片岩中の副成分鉱物として、また柱状結晶が集合して脈や塊をなして産する。しばしば結晶片岩や片麻岩中に含まれる石灰岩を交代するスカルン中にも産する。マンガン分に富み桃色をするものは桃簾石(とうれんせき)thuliteの別名がある。バナジウムを含んだ青紫色透明な灰簾石は研磨されて宝石となり、タンザナイトtanzaniteとよばれる。英名は、この鉱物の最初の記載者A・G・ウェルナーに本鉱を提供したオーストリアの貴族エーデルシュタイン男爵ゾイス(ツォイス)Baron Sigismund Zois von Edelstein(1747―1819)にちなんで命名された。
[松原 聰]
zoisite
化学組成Ca2Al3(Si2O7)(SiO4)O(OH)の鉱物。黝簾(ゆうれん)石,ゾイサイトとも。直方晶系,空間群Pnma,格子定数a1.61913nm,b0.55488,c1.00320。単位格子中に4分子含む。柱状結晶。無色,ほかに灰,淡褐~淡緑,紫,ピンク,緑,黄色。ガラス光沢。劈開{010}に完全。薄片では無色,2V(+) 0°~60°,屈折率α1.696〜1.700,β1.696〜1.702,γ1.702〜1.718。モース硬度6〜7,密度3.35ɡ/cm3。組成によっては複屈折が著しく低く異常干渉色を示す。苦鉄質火山岩・火砕岩・石灰質堆積岩起源の広域変成岩,再結晶質石灰岩中に産出。命名はオーストリアの貴族で学者だったS.Zoisにちなむ。かつては緑れん石族の鉱物とされたが,斜灰れん石の同質異像で,現在は緑れん石族に含まれない。
執筆者:赤坂 正秀
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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