燐酸カリウム(読み)リンサンカリウム(その他表記)potassium phosphate

デジタル大辞泉 「燐酸カリウム」の意味・読み・例文・類語

りんさん‐カリウム【×燐酸カリウム】

燐酸カリウム塩。無色結晶。水に溶け、水溶液は強アルカリ性合成洗剤製造に用いる。化学式K3PO4 工業上は水素酸を含めていい、燐酸二水素カリウムKH2PO4単結晶強誘電体で、圧電素子・電気工学素子やレーザーの光高調波発生に用いられる。

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精選版 日本国語大辞典 「燐酸カリウム」の意味・読み・例文・類語

りんさん‐カリウム【燐酸カリウム】

  1. 〘 名詞 〙 ( カリウムは[ドイツ語] Kalium ) カリウムの燐酸塩斜方晶系の無色の結晶。化学式 K3PO4 吸湿性が高く、石鹸製造、脱硫に用いる。工業、医薬方面では、燐酸水素カリウム(K2HPO4, KH2PO4)をさすことがある。

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改訂新版 世界大百科事典 「燐酸カリウム」の意味・わかりやすい解説

リン(燐)酸カリウム (りんさんカリウム)
potassium phosphate

化学式K3PO4。リン酸三カリウムともいう。無水和物,7水和物,9水和物がある。無水和物は無色斜方晶系結晶。融点1340℃。比重2.564(17℃)。吸湿性が強い。水100gに対する溶解度193.1g(25℃)。水溶液は強アルカリ性。エチルアルコールに不溶。リン酸と計算量水酸化カリウムを反応させ,蒸発乾固し,さらに300~500℃で熱すると無水和物が得られる。水溶液から結晶させると-13~45.4℃で7水和物,-13℃以下で9水和物が得られる。鹹水かんすい原料,醸造薬品,膨張剤調味料,肉類結着剤,ペニシリン・ストレプトマイシン培養基,水の軟化剤などに用いられる。

 水素塩K2HPO4,KH2PO4を単にリン酸カリウムということもある。

化学式K2HPO4。リン酸カリウムあるいは第二リン酸カリウムともいう。無水和物,3水和物,6水和物が知られている。無水和物は無色板状ないし針状晶。潮解性で,水に易溶。熱すると282℃以上で分解してピロリン酸塩K4P2O7となる。リン酸を計算量の水酸化カリウム水溶液と反応させ,濃縮してから,200℃で加熱脱水して得られる。水溶液から結晶させると14.7℃以下で6水和物,48.3℃以下で3水和物が得られる。市販品は無水和物が普通。鹹水原料,醸造用剤,膨張剤,調味料,pH調整剤,ペニシリン・ストレプトマイシン培養基などに用いられる。

化学式KH2PO4。第一リン酸カリウムともいう。無色正方晶系結晶。強誘電体でKDPと略称し,アンモニウム塩ADPとともに圧電素子,電気光学素子として用いられる。またKDPはレーザーの光高調波発生に用いられる。K⁺とH2PO4⁻とからなり,四面体のPO4水素結合で三次元的に連なっている。O-H…O原子間距離2.492Å。O-H原子間距離1.07Å。融点96℃。比重2.238。屈折率1.5095。200℃で脱水が始まり,258℃で強い吸熱反応によってメタリン酸塩KPO3となる。水100gに対する溶解度14.3g(0℃),22.7g(20℃)。1%水溶液のpH4.6。計算量のリン酸と水酸化カリウムを反応させ,濃縮して結晶を析出させる。工業的には,リン酸と塩化カリウムを強熱してKPO3とし,これを水に溶かして結晶を得ている。酵母培養剤,医薬品,栄養剤,pH調整剤,肥料などに用いられる。
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化学辞典 第2版 「燐酸カリウム」の解説

リン酸カリウム
リンサンカリウム
potassium phosphate

K3PO4(212.3).リン酸三カリウム,第三リン酸カリウムともいう.そのほかリン酸水素二カリウムK2HPO4,リン酸二水素カリウムKH2PO4がある([別用語参照]リン酸水素カリウム).単にリン酸カリウムというとき,これらの水素塩をさすことがある.リン酸三カリウム無水和物は,リン酸と水酸化カリウム溶液を1:3のモル比で反応させ,蒸発乾固したものを高温脱水すると得られる.三,七,九水和物が知られている.無水和物は無色の斜方晶系結晶.密度2.564 g cm-3.融点1340 ℃.溶解度105.8 g/100 g 水(25 ℃).エタノールに不溶.潮解性があり,水溶液は強アルカリ性を呈する.せっけん,かん水原料,醸造用添加物,石油製品の脱硫などに使用される.[CAS 7778-53-2:K3PO4][CAS 22763-03-7:K3PO4・3H2O][CAS 22763-02-6:K3PO4・7H2O][CAS 78436-05-2:K3PO4・9H2O]

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