特許法(読み)とっきょほう

  • とっきょほう トクキョハフ
  • とっきょほう〔トクキヨハフ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

昭和 34年法律 121号。産業上利用可能な発明 (物の発明,方法の発明,物を生産する方法の発明) をした特許権を付与して,発明の保護および利用をはかることにより発明を奨励し,産業の発達に寄与することを目的とする法律。特許を受ける手続 (出願審査,審判手続) および権利の内容 (特許権侵害に対する措置,特許実施権許諾など) などについて規定する。

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知恵蔵の解説

産業の発達に寄与することを目的として、自然法則を利用した高度な発明に対し、その技術内容の公開を前提として一定期間の独占権を与え、特許権として保護することを定めた法律。特許権は独占禁止法の例外措置であり、産業技術の発達に寄与する範囲で、その独占権が認められる。日本の特許法は、先願主義をとり、特許権存続期間は出願日から20年間(医薬品等は5年間の延長可)である。特許権には「物の発明」と「方法の発明」とがあり、新規性、進歩性を備えた高度なもので産業上利用できることが発明の要件である。プロパテント政策を背景に、特許審査基準の見直しが図られ、2002年4月にはコンピューター・プログラムが「物の発明」として明文化されたほか、ビジネスモデル特許、遺伝子特許、医療技術特許など特許概念の進化、拡大が著しい。一方、01年10月に審査請求期間を7年から3年へ短縮したことに起因する「請求のコブ」と呼ばれる審査件数の増大もあり、05年度末の審査待ち件数、期間はそれぞれ約79万件、約26カ月と審査の迅速化が大きな課題である。特許庁は、任期付き審査官の大量採用や先行調査での民間調査会社の活用などにより迅速化を促進し、13年には世界最高水準である審査待ち期間11カ月を実現することを目標としている。

(桜井勉 日本産業研究所代表 / 2007年)

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百科事典マイペディアの解説

発明者に特許権を与え,発明の保護・利用を図るための法律(1959年公布,1960年施行)。工業所有権法の一つ。特許出願,審査,特許権,審判,訴訟,罰則等につき規定。旧法(1921年)以来,従前の最先発明者に特許を与える主義を改め,最先出願者に与える主義を採用している。1975年改正によって従来特許を受けることのできなかった飲食物,嗜好物,医薬品またはその混合法,化学物質の発明について特許が可能となり,また1発明につき複数項の特許請求範囲の記載を許容する多項制が採用された。近年の主な改正は以下のとおりである。2004年改正で,職務発明に対する対価をめぐる訴訟頻発に対応すべく見直しがなされ,また秘密保持命令,当事者尋問などの公開停止などの規定の改正が行われた。2006年改正で分割制度の乱用防止,侵害とみなす行為の態様の追加,罰則の強化等,2008年改正は不服審判請求の拡大,優先権書類の電子的交換の対象国の拡大,特許関係料金・商標関係料金の引下げ等。さらに2011年改正では,熾烈を極める先端科学技術の国際競争やグローバル化のなかでの知的財産権保護を視野に入れて,(1)ライセンス契約の保護の強化(事業の安定性を確保するため企業が社外の技術を活用するために必要なライセンス契約の保護を強化),(2)共同研究等の成果に関する発明者の適切な保護企業や大学等で一般化している共同研究・共同開発の成果を適切に保護する,(3)ユーザーの利便性向上(中小企業等の負担を軽減するため知的財産制度のユーザーの利便性向上を図る),(4)紛争の迅速・効率的な解決のための審判制度の見直しの各措置(知的財産を巡る紛争のコストを低減するため,紛争の迅速・効率的な解決を図る),などの規定を加えた。第二次安倍内閣では2013年に今後10年間の政府の知的財産戦略を定めた〈知的財産政策に関する基本方針〉を閣議決定,従業員が仕事で発明した〈職務発明〉について,特許権の帰属を従業員から企業への移行を検討することなどを盛り込み,安倍首相の成長戦略に反映する方針を打ち出した。職務発明に伴う特許権を,(1)企業に帰属,(2)企業か従業員のどちらに帰属させるか契約で決める,との2案を明記し2014年度の特許法改正も視野に入れ検討を進めている。→ロイヤルティ
→関連項目意匠法弁理士

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大辞林 第三版の解説

発明の保護と利用を図り、産業の発展を目的として、特許に関する手続きなどを規定する法律。1959年(昭和34)制定。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 発明の保護および利用を図ることにより、発明を奨励し、産業の発達に寄与することを目的として定められた法律。明治三二年(一八九九)公布、昭和三四年(一九五九)新法を制定。

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世界大百科事典内の特許法の言及

【特許】より

…とくに北イタリアの自由都市では,独占権を付与することを条件に,外国から優秀な技術者を招き,織物業等の産業の振興を図った。その中でもとくに有名なのが1474年の〈ベネチア特許法〉であり,これが世界最古の特許法といわれている。この特許法は,その要件や効果の点において現代の特許法に近いものをもっていた。…

【発明】より

…そして19世紀末以降,有機合成化学が発達すると,染料をはじめとする天然の化合物が人工的に作り出されるようになり,この合成された化合物と天然の化合物を区別することが不可能になり出した。それで特にドイツにおいて,特許法の保護対象を合成された化合物(化合物の製造方法の発明)に限定するために,天然に存するか,存する可能性がある新しい現象や物質・生物などの確認を〈発見〉として発明から除外するようになった。なおこの傾向は,第2次大戦以降,高分子や半導体など天然に存しない化合物が合成されたり,遺伝子工学により天然に存するはずのない生物が作り出されたりするようになったため,物質や生物についても発明がありうることとなり,再びこの区別はあいまいになってきている。…

※「特許法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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