秋保
あきう
宮城県中部、名取郡(なとりぐん)にあった町。現在は仙台市太白区(たいはくく)の一地区。1967年(昭和42)町制施行、1988年仙台市に編入。西に奥羽山脈の大東(だいとう)岳、面白(おもしろ)山、神室(かむろ)岳が連なり、古くから二口峠(ふたくちとうげ)により山形県と結ばれていた。二口峠に源を発し秋保の中央を流れる名取川には、二口峡谷、磊々峡(らいらいきょう)などの名所がある。国道457号が通じる。鎌倉時代からこの地を支配した秋保氏は、戦国時代末期には伊達(だて)氏に臣従した。江戸時代には炭焼きをおもな産業とする山村であった。古くから温泉地として著名で湯元の秋保温泉郷と二口温泉がある。国指定の名勝である秋保大滝(不動滝)、磐司岩(ばんじいわ)、天然記念物の姉滝がある。「秋保の田植踊」は1976年に国の重要無形民俗文化財となり、2009年(平成21)にはユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録された。
[後藤雄二]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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秋保 (あきう)
宮城県中部,仙台市西部に位置する旧町。1988年に仙台市に編入され,現在は太白(たいはく)区に所属。西は山形県に接し,名取川上流の山間を占める。総面積の90%以上が山林で,耕地は3%弱にすぎず,米や葉タバコなどを産するが農業はふるわない。磊々(らいらい)峡付近の湯元にある秋保温泉(含塩化土類食塩泉,24~60℃)は古くから〈名とりの御湯〉(《大和物語》)として知られ,江戸時代は仙台藩の御用湯として栄えた。近年は仙台近郊の保養行楽地となり,森林スポーツ公園,ゴルフ場などの施設も整備されている。名取川上流は二口峡谷と呼ばれ,秋保大滝(名),姉滝(天),妹滝,磐司岩(名)などが続く景勝地である。馬場には平家の落人伝説をもつ田植踊(重要無形民俗文化財)が伝えられている。
執筆者:千葉 立也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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秋保【あきう】
宮城県中部,旧名取郡の旧町。1988年仙台市に編入。1989年太白区の一地区となった。名取川上流域を占め,秋保温泉で有名。飯坂,鳴子とともに〈名取の湯〉の名で奥州三名湯といわれ,古くから利用された。含塩化土類ホウ酸食塩泉,30℃。温泉の周辺は山地で林業が盛ん。秋保大滝,二口峡,磊々(らいらい)峡がある。
→関連項目名取川
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世界大百科事典(旧版)内の秋保の言及
【秋保】より
…総面積の90%以上が山林で,耕地は3%弱にすぎず,米や葉タバコなどを産するが農業はふるわない。磊々(らいらい)峡付近の湯元にある秋保温泉(含塩化土類食塩泉,24~60℃)は古くから〈名とりの御湯〉(《大和物語》)として知られ,江戸時代は仙台藩の御用湯として栄えた。近年は仙台近郊の保養行楽地となり,森林スポーツ公園,ゴルフ場などの施設も整備されている。…
【名取川】より
…奥羽山脈の二口峠(934m)付近に発し,上・中流部では第三紀の凝灰岩を切って[二口峡谷]や磊々(らいらい)峡の奇勝をつくり,中・下流部で碁石川,[広瀬川]などを合わせて仙台湾に注ぐ。上流に二口温泉(セッコウ泉,23~32℃),秋保(あきう)温泉(食塩泉,24~60℃)があり,碁石川には釜房ダムがある。仙台から名取川,碁石川に沿って笹谷街道(国道286号線)が山形へ通じ,近世には重要な物資輸送路であった。…
※「秋保」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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