熱や電気などのエネルギーを試料に与えて試料を励起し、その際に発する発光スペクトルを分光器や分光計で分光し、原子、イオン、分子などのスペクトルの波長から定性分析をし、またその強度から定量分析を行う方法。普通は励起にアーク、スパークなどの放電を利用する場合に限ってよばれることが多い。この場合、試料をそのまま電極にするか、粉末試料の場合には、試料を黒鉛補助電極の上端の凹(くぼ)みに詰めて、対極との間で放電を行う。アーク放電は、試料の蒸発作用が大きいことから、高感度で、微量分析に優れ、スパーク放電は蒸発作用が小さく、試料電極の変形が少ないので、長時間安定な放電が行え、金属試料の迅速定量に適している。また、励起に高周波放電を利用する方法があり、その一つの型である誘導結合プラズマ発光分光分析法は主として溶液試料の分析に使われている。そのほか励起に中空陰極放電、無電極放電、グリム放電などの各放電を利用する方法や、化学的燃焼によって生ずる炎の熱を利用する炎光(えんこう)分光分析法なども同一原理に基づく発光分光分析である。
[高田健夫]
熱,電気,あるいは光などのエネルギーを外部から試料に与えて,試料中の元素または化合物を励起し,放射される発光を分光器で分光し,輝線スペクトルや帯スペクトルの波長,あるいは波長分布によって分析する方法の総称.波長領域は,一般に,400~800 nm の部分が選ばれる.これにより短波長ではX線発光分光分析([別用語参照]X線分光分析)となり,蛍光現象にもとづく分析は蛍光分析として区別される.発光分光分析のなかでは輝線スペクトル(原子スペクトル)を用いる方法がもっともよく利用される.これは電気的な放電発光法と,熱的炎光発光法に分類され,前者ではアーク放電による発光を,後者では溶液を炎のなかに霧状に導入して得られる発光を用いる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…吸収分光法による定量分析は,この法則を用い,吸収ピークの高さの対数をとることによって行われる。
[発光分光分析emission spectrochemical analysis]
光放出による分光分析をいうが,単に発光分析ともいう。この方法で用いる装置は,試料部が光源と同一である点以外は,吸収分光分析で用いるものと本質的に変わるところがない。…
※「発光分光分析」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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