下女が主家秘蔵の皿を割ったために井戸に投身し(もしくは惨殺され)、その亡霊が現れて皿の枚数を悲しげに数えるという巷間(こうかん)伝説。この話が人口にもっとも膾炙(かいしゃ)されたのは、1741年(寛保1)の豊竹(とよたけ)座初演の『播州(ばんしゅう)皿屋敷』で、原話は細川家の御家騒動に恋の意趣が絡んだものである。河竹黙阿弥(もくあみ)の『新皿屋敷月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)』や岡本綺堂(きどう)の『番町皿屋敷』や講談・映画などで多くの人に知られている。しかし、この類型は古くから、多く地域社会に伝えられている。現在の高知県四万十(しまんと)市のそれは、お滝という下女が秘蔵の皿10枚のうち1枚を紛失し滝に投身、怨霊(おんりょう)として出て9枚目に泣き出すので、主人が10枚と答えると泣き止んだ、という。長崎県五島(ごとう)市では、皿を割って湯殿で打首になった女が怨霊として湯殿に出没した。いまの五島支庁の隣に皿屋敷が現存する。福岡県嘉麻(かま)市の豪家の下女お菊も同じ罪を着せられ井戸に投身、亡霊として出没した。このときの皿が同地の縄田家に蔵されている。
[渡邊昭五]
出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
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