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相律 そうりつphase rule

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

相律
そうりつ
phase rule

物質のどの部分をとってもその物理的,化学的性質が一様に均一で同じ性質を示すとき,これらの物質は同じにあるという。2つ以上の相が共存するとき,これらは不均一系と呼ばれる。不均一系平衡が成立するためには,特定の条件が必要であり,この条件を決める法則が相律である。 1876年頃 J.W.ギブズにより見出された。相の数を P自由度F ,成分の数を C とすると,この系が平衡状態にあるとき FCP+2 の関係式が成立する。たとえば一成分系として水の場合,水蒸気,水,氷の3つの相が平衡状態で共存しているとき P=3 ,C=1 であるから F=0 。すなわち平衡状態は確定的で条件は自然に決る。これは温度が 0.0098℃,圧力が 0.00603気圧という条件に相当する。

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デジタル大辞泉の解説

そう‐りつ〔サウ‐〕【相律】

二つ以上の相が共存して平衡している不均一系物質における自由度を定める熱力学的法則。状態変数すなわち自由度をf、相の数をp、独立成分の数をnとすれば、fn+2-pで示される。

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百科事典マイペディアの解説

相律【そうりつ】

〈いくつかのが共存して平衡状態にある不均一系において,独立成分の数c,共存する相の数p,自由度fの間に,p−c+f=2の関係式が成り立つ〉という法則。ここで独立成分の数とは各相の組成を独立に変化させ得る物質の数,自由度とは独立に変化させ得る状態変数(通常,圧力,温度,濃度をとる)の数をいう。
→関連項目ローゼボーム

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法則の辞典の解説

相律【phase rule】

通常はギブスの相律*という.系を記述するために必要となる自由度(温度,圧力,濃度)の数を F 成分数(各層の構成成分を表示しうる最小の物質の数)を C,相の数を P としたとき,

FC+2-P

となる.ここでいう相とは,均一で機械的に分離できる物理的に異なる部分をいう.これを図示したものが相図*であるが,鉱物学分野では平衡図*または状態図*と呼んでいる.

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岩石学辞典の解説

相律

化学的に不均一系で各相の間に平衡(不均一系平衡)が成立するためには,熱力学的に一般化すると成分物質の化学ポテンシャルがそれぞれの相で互いに等しくなければならない.その結果,物質系を構成する相の数をp,独立な成分の数をcとすると,fc-p+2,という関係が成り立つ.ここでfは独立に変えうる示強変数の数で,その系の自由度という.この関係を相律(phase rule)といい,ギブズ(J. W. Gibbs)によって1874-1878年に確立された.ギブズの相律ともいう[久保ほか : 1987,長倉ほか : 1998].

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栄養・生化学辞典の解説

相律

 成分の数をCとし,相の数がPである系が熱平衡状態にあると,系のもつ自由度FFCP+2となる.この関係を相律という.

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世界大百科事典 第2版の解説

そうりつ【相律 phase rule】

物質系において平衡に存在する相の数pと,独立な成分(その各相における濃度が数学的に定義できるような構成要素)の数cおよびそのとき独立に変えることのできる状態変数の数(自由度と呼ばれる)fの間の関係を与える式。pcf=2で表される。19世紀後半にアメリカのJ.W.ギブズによって導かれたもので,ギブズの相律とも呼ばれる。この関係式は,相の間に平衡が成り立つためには各成分の化学ポテンシャルが共存するそれぞれの相で互いに等しくならなければならないという要請から導かれる。

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大辞林 第三版の解説

そうりつ【相律】

n 種類の物質からなる混合系が r 個の相に分かれて平衡状態にあるとき、独立に変えることのできる状態変数の数(自由度) f は、f n +2-r で示される。この関係を相律という。例えば、一成分系(n =1)の気液平衡(r =2)では、自由度 f は 1 。このことは、温度が決まれば、飽和蒸気圧の値はただ一つに決まってしまうことを意味する。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

相律
そうりつ
phase rule

相平衡、すなわち二つ以上の相の間で平衡が成立しているとき、その自由度を決める法則をいう。1876年から1878年にかけてアメリカのJ・W・ギブスによって発表され、ギブスの相律ともいう。平衡にある系の状態を決めるのに必要な独立の状態変数(圧力、温度および成分物質の濃度)の数を自由度というが、その自由度をfとするとき、n個の成分からなり、p個の相として平衡にある場合、
  fn+2-p
で示される。たとえば、一成分系(n=1)では、その系が一つの相(気相、液相、固相のうちどれか一つ、すなわちp=1)であればf=2となり、温度と圧力の2変数を自由に変えることができる(たとえば水蒸気のみが存在する場合)。一成分系で二つの相(たとえば液相と気相)が共存する系では、f=1となり、温度または圧力のどちらか一つを決めるとほかはすべて決まる(たとえば水と水蒸気が存在する場合)。また三つの相が共存すれば、温度も圧力もその物質に特有な一定値となってしまう。水の三重点はこの例で、水という一つの成分からなって(n=1)、水蒸気(気相)、水(液相)、氷(固相)の三相共存(p=3)では、
  f=1+2-3=0
となる。二成分系以上では、変数として温度と圧力のほかに成分の濃度(普通モル分率で表す)が入り複雑になる。[戸田源治郎・中原勝儼]

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