市の中心部にあって尾張国の一宮とされ、地名
社領は、嘉禎元年(一二三五)の真清田社領注文の断簡(久我文書)によれば水田一二九町九反三〇〇歩のうち九六町一二〇歩が定田であり、社領は旧中島郡・葉栗郡・愛知郡・海東郡・海西郡内に分布していたことが察せられる。応安二年(一三六九)の公役納法下地等注文(妙興寺文書)には「一宮方」として「高木」(現丹羽郡扶桑町)、文明三年(一四七一)五月の尾張国一宮社領年貢注文(久我文書)に「野依」(現西春日井郡西春町)の名がみえ、社領が広範囲にわたっていたことをうかがわせる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
愛知県一宮市真清田に鎮座。古くは真墨田神社とも記した。天火明(あめのほあかり)命をまつる。天火明命は尾張氏の祖神で,その子天香語山(あめのかごやま)命のとき,大和より尾張に移って開拓経営にあたり,祖神をこの地に奉斎したのが当社の起源という。以後尾張氏とともに発展し,847年(承和14)従五位下,851年(仁寿1)官社に列せられ,865年(貞観7)正四位上,延喜の制で名神大社,のち尾張国一宮とされた。中世武家が崇敬,熱田神宮の造替にあたり,まず当社を造替する例をもった。近世には朱印領336石6斗。旧国幣中社。例祭は4月3日で多くの馬を集めて桃花祭があり,ほかに太大神楽(だいだいかぐら),駒牽(こまひき)神事が10月15日にある。現社殿は戦災ののち,1958年復興されたもの。
執筆者:鎌田 純一
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愛知県一宮(いちのみや)市真清田に鎮座。祭神天火明命(あめのほあかりのみこと)は、『日本書紀』一書に、天照大神(あまてらすおおみかみ)の御子天忍穂耳尊(みこあまのおしほみみのみこと)の御子と記し、尾張連(おわりのむらじ)らの遠祖とある。尾張国を開拓した尾張氏の祖神を祀(まつ)る神社で、社伝によると、神武(じんむ)天皇の御代(みよ)の創建と伝える。847年(承和14)従(じゅ)五位下(げ)を授けられ、851年(仁寿1)官社に列し、853年従四位下、865年(貞観7)正(しょう)四位上(じょう)を授けられ、『延喜式(えんぎしき)』神名帳に名神(みょうじん)大社として登載され、のち尾張国一宮となる。旧国幣中社。舞楽面12面は国の重要文化財。例祭4月3日。
[白山芳太郎]
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