斑状組織(読み)ハンジョウソシキ(その他表記)porphyritic texture

デジタル大辞泉 「斑状組織」の意味・読み・例文・類語

はんじょう‐そしき〔ハンジヤウ‐〕【斑状組織】

急冷によってできた細粒結晶ガラス質からなる石基の中に斑晶が散在する火成岩組織火山岩に多い。

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精選版 日本国語大辞典 「斑状組織」の意味・読み・例文・類語

はんじょう‐そしきハンジャウ‥【斑状組織】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 岩石の組織の名。細粒結晶質ないしガラス質の石基と、粗粒の斑晶とから成るもの。火山岩・半深成岩などの火成岩にみられる。
  3. 金属の固溶体で、異種結晶粒が混在している組織。面を研磨して適当な腐食処理を行なって顕微鏡などで拡大すると、ある種の結晶粒だけが斑点となって見える。

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改訂新版 世界大百科事典 「斑状組織」の意味・わかりやすい解説

斑状組織 (はんじょうそしき)
porphyritic texture

火成岩の組織を表す用語一つ斑晶石基鉱物のように,はっきり大きさの異なる2群の鉱物でできているとき斑状組織という。これに対し斑晶をほとんど含まない火山岩の組織をアフィリックaphyric(無斑晶状)という。火成岩がほぼ同じ大きさの鉱物粒からできているときは等粒状equigranularという。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「斑状組織」の意味・わかりやすい解説

斑状組織
はんじょうそしき

火成岩において、斑晶と石基からなる組織。斑晶は石基に比べて著しく大きく、かつ一般には自形を呈する。火山岩の場合には、斑晶は石基に先だって、マグマがまだ地中にある期間にすでに晶出し始めたものと考えられている。しかし、ある種の深成岩では、最末期に晶出したカリウム長石が、それまでに晶出していた他鉱物を包み込みつつ、大きく成長して、一種の斑晶となったと考えられる場合もある。斑晶はしばしばある方向に配列し、マグマの流動を示すことがある。なお、変成岩にも、大きな結晶とそれを囲む小さな鉱物からなる組織があるが、それは斑状組織とはいわない。

[橋本光男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「斑状組織」の意味・わかりやすい解説

斑状組織
はんじょうそしき
porphyritic texture

火成岩で肉眼的に目立つ大きさの鉱物粒が点在する組織。深成岩の等粒状組織に対する語。斑状の結晶を斑晶,まわりの部分を石基という。石基が天然のガラスだけか,その中に肉眼で識別しがたい細粒の結晶が点在する場合を半晶質という。多くの火山岩は半晶質である。斑状組織で石基がすべて細粒の結晶で埋められた完晶質の場合がある。半深成岩には完晶質の斑状組織のものが多い。火山岩でも大きな岩体では中心部にいくにつれて半晶質から完晶質の斑状組織に漸移することが多い。

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岩石学辞典 「斑状組織」の解説

斑状組織

火成岩の組織で,特に大きい結晶(斑晶)が存在し,周囲の細粒またはガラス質の石基の中に散らばっている組織[Macculloch : 1821].ローゼンブッシュは岩石の中で同じ鉱物種に二回の形成時期があったと考えた[Rosenbusch : 1887].同一鉱物種の間の形成時期の差の存在は,鉱物粒相互の形態,組成などによって判断され,鉱物粒の大きさの差は相対的である.大きな班晶は一般に自形である.ギリシャ語でporphyrosは英語のpurpleに相当する.purpleには病理学の紫斑病の意味がある.

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百科事典マイペディア 「斑状組織」の意味・わかりやすい解説

斑状組織【はんじょうそしき】

岩石の組織を表す語。大きい結晶が細粒結晶集合中またはガラス中に散在する組織。前者が斑晶で,徐冷中に成長したもの。後者が石基で,急冷時にできたもの。
→関連項目岩石組織

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