砥部焼(読み)とべやき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

砥部焼
とべやき

愛媛県伊予郡砥部町を中心としてその近隣で焼かれる陶磁器大洲 (おおず) 藩主加藤泰侯が家臣加藤三郎兵衛に命じて,陶工杉野丈助安永4 (1775) 年築窯させたのを創始とする,麻生村の門田金治が同年に杉野丈助に築窯させたのを始りとする説,元文年間 (36~41) 以前にすでに陶器が焼かれていたとする説などがある。しかし,安永6年に初めて磁器焼成に成功したという点では一致している。文化文政期が最盛期で,近くの川登の川底や,高野川などからとれる良質の磁石や釉石を原料とした。江戸時代には主として染付の日用雑器,明治初年からは上質の白磁が焼かれるようになった。現在では三十数窯の窯元があり,茶陶,食器,花器,タイルにいたるまで各種の陶磁器を生産している。

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百科事典マイペディアの解説

砥部焼【とべやき】

愛媛県砥部町付近で作られる焼物。1775年加藤三郎兵衛が開窯し,1777年に磁器焼成に成功した。以後釉石の発見,磁質の改良があり白磁,色絵磁器などを生産。明治になって向井和平が淡黄磁器を創製した。現在は花器,食器,碍子(がいし)などを生産。
→関連項目愛媛[県]

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大辞林 第三版の解説

とべやき【砥部焼】

愛媛県松山市の郊外で産する磁器。1775年、大洲藩主加藤侯が家臣加藤三郎兵衛に諮り、有田から陶工を招いて砥部村字五本松で開窯。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

砥部焼
とべやき

愛媛県の代表的な陶磁器窯で、日用雑器を産する。窯は同県伊予郡砥部町にあるが、その開窯は江戸中期(18世紀前期)と推定される。初め砥部郷大南(おおみなみ)村と北川毛(きたかわげ)村(現伊予郡砥部町)で陶器を焼造していたが、江戸後期の1775年(安永4)に大洲(おおず)藩主加藤泰候(やすとき)の指示により磁器窯へと転じたのち、磁石(じせき)を今日の伊予市三秋に発見、九州の平戸(ひらど)や博多(はかた)の陶工が製作に加わり、1818年(文政1)には川登石(かわのぼりいし)を発見して良質の白磁がつくられるようになった。製品は初め染付(そめつけ)が中心であったが、江戸後期には赤絵も焼かれた。また砥部焼の素地(きじ)の上に中国の粉彩(日本では十錦(じっきん/じゅっきん)という)に倣って絵の具を上絵付する十錦手(で)が、天保(てんぽう)(1830~44)のころに郡中(現伊予市)の小谷屋坤斎(おたにやこんさい)によって開発されたことは特筆される。[矢部良明]
『立原正秋・林屋晴三監修『探訪日本の陶芸6 砥部他』(1980・小学館)』

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事典 日本の地域ブランド・名産品の解説

砥部焼[陶磁]
とべやき

四国地方、愛媛県の地域ブランド。
伊予郡砥部町・伊予郡松前町・松山市で製作されている。江戸時代の1777(安永6)年、杉野丈助が白磁器の製造を成功させたことに始まる。藩政期から戦前にかけて地場産業として発展した。清楚な白磁の肌に溶け込んだ呉須絵の趣が特徴的。愛媛県伝統的特産品。1976(昭和51)年12月、通商産業大臣(現・経済産業大臣)によって国の伝統的工芸品に指定。

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世界大百科事典内の砥部焼の言及

【愛媛[県]】より

…日本最古の温泉である道後温泉は松山市内にあり,温泉本館は国の重要文化財である。南郊では白磁を基調とし陶石を原料にした砥部(とべ)焼が生産されている。松山平野は肥沃な農村地帯であるが,山麓はミカン園として開かれており,商品作物栽培農家が松山市の小売商業を支えている。…

【砥部[町]】より

…この両川沿いに低地が開ける。砥部焼として知られる製陶の町で,文禄・慶長の役のとき朝鮮から渡来した陶工が始めたという伝えがあるが,安永年間(1772‐81)五本松の上原(かんばら)に窯を開いた杉野丈助が砥部焼の祖とされる。大洲藩の保護奨励もあって発展,現在は食器,花器,茶器のほか電気碍子(がいし)の生産も多い。…

【広田[村]】より

…耕地に乏しいため,木材,クリ,シイタケ,タバコなどを栽培する。北東に接する砥部(とべ)町との境,上尾(うえび)峠(463m)付近では陶石が採掘され,砥部町の砥部焼をはじめ,名古屋,多治見などの陶器産地に原料を供給している。中野川にある権現山は信仰の山で,東方の石鎚山に対して小型の石鎚山として〈西の権現〉と呼ばれる。…

※「砥部焼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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